セイバーメトリクスで考える17年ベストオーダー。大量点期待の強力打線に…

セイバーメトリクスで考える17年ベストオーダー。大量点期待の強力打線に…

レベルの高い外野手が集中するセンターから3人を選出

 まず外野手から見ていこう。外野は本家ベストナインにならい、それぞれのポジションではなく、外野全体から優秀な選手3人を選出する。
 
 一目して“当確”と言えるのは秋山翔吾(西武)、柳田悠岐(ソフトバンク)の2人。秋山は攻守で圧倒的な貢献を見せており文句なし。柳田は守備と故障離脱による出場機会減というマイナスはあったが、それを補って余りある打撃貢献を果たしていたからだ。
 
 最後の1枠は誰がふさわしいか。打撃で数字を伸ばしたT-岡田、吉田正尚のオリックス勢の活躍は目を引くが、ここでは日本ハムの西川遥輝を推したい。現在のパ・リーグは、外野で最も守備力が求められるセンターを攻撃力の高い秋山、柳田が守っているため、攻撃力の平均値が上がっている。
 
 西川のセンターでのポジション別wRAA(ポジションの平均レベルの打撃成績をゼロとして貢献度を計った指標)は10.0だが、ハイレベルな環境下で平均以上の数値を残したことは価値がある。加えてセンターは守備力においても優れた選手が集まるものだが、その中でも平均レベルの守備を見せている。リーグトップの39盗塁など、走塁面でも優れた働きを見せていることも評価した。




源田、今宮、茂木がしのぎを削った激戦・ショート

 ショートは源田壮亮(西武)、今宮健太(ソフトバンク)、茂木栄五郎(楽天)の3人が数値上は僅差の争いを見せている。守備の源田、攻守のバランスの今宮、打撃の茂木といった表現が適当か。茂木の打撃はショートとしては頭一つ抜けている。欠場をどう評価するかで判断は変わってきそうだ。
 
 サードは松田宣浩(ソフトバンク)、ゼラス・ウィーラー(楽天)、中村剛也(西武)、中村奨吾(ロッテ)などが候補。ここも打撃のウィーラー、バランスの松田と中村剛也、出場機会は少ないが守備面での貢献が大きかった中村奨吾というタイプ分けができる。このポジションも出場機会の少なかった中村奨吾をどう評価するかで選択は変わる。
 
 セカンドは浅村栄斗(西武)で異論はないだろう。唯一の対抗馬は鈴木大地(ロッテ)だが、攻守ともに浅村が勝っており、文句のつけようがない。鈴木は浅村を出塁面で上回ったが長打力には大きな差があった。ショート時代は大きな弱点となっていた守備もセカンド転向によりマイナス幅は狭めた。浅村、鈴木ともにパを代表するセカンドといえる。





日ハム・近藤は今季57試合の出場ではあるが、強烈なインパクト

 ファーストは山川穂高(西武)。シーズン途中からのレギュラー定着だったが、7月以降で21本塁打を放ち、チームの上位進出に大きく貢献した。今季パ・リーグのファーストはレギュラーをフルシーズンで張り続けた選手が中田翔(日本ハム)しかいなかった。またその中田も不調だったため、山川以外に迫る貢献を見せた選手は見られなかった。ポストシーズンで大活躍を見せた内川聖一(ソフトバンク)も、シーズン中は山川ほどの打撃貢献には至っていない。
 
 キャッチャーは甲斐拓也(ソフトバンク)になるだろうか。常にスタメンで出場したわけではなかったが、打力のない選手が集まりやすいキャッチャーの中では打撃での貢献が大きかった。どの球団もキャッチャーのレギュラーは固定できておらず、他球団に大きな差をつけられていない。甲斐がこのまま出場機会を増やせば、当面の間ソフトバンクは他球団に対するアドバンテージを得そうだ。
 
 指名打者は故障でシーズン半分以上を棒に振った近藤健介(日本ハム)を選びたい。本家ベストナインではアルフレド・デスパイネの選出が最有力だと思われるが、デスパイネは出場数は多かったものの、他球団に決定的な差をつける活躍だったとは言えない。
 
 短い期間であったが、他球団に圧倒的な差をつけた「指名打者・近藤」の活躍は鮮烈だった。日本ハムは今季得点力不足に苦しんだが、大谷翔平と近藤が務めた指名打者の成績においては、他球団を上回っていた。





則本対菊池は、被本塁打の重みの捉え方がポイント。サファテは文句なし

 投手の選考はバックの守備の影響を受けない、投手の能力が色濃く反映される数値と、それを用いて投手の総合的な貢献を計る数値を使って評価していこう。
 
 守備の影響を受けないK%(奪三振割合)、BB%(与四球割合)、打球に占めるゴロの割合で見ていくと先発投手は則本昂大(楽天)、救援はデニス・サファテ(ソフトバンク)が妥当だろう。菊池雄星(西武)は則本を上回る187回2/3を投げ、防御率は1.97(則本は2.57)を記録したが、被本塁打が則本の11本に対し菊池は16本と多かった。
 
 「バックの守備の影響を受けない」要素を重視した評価の場合は則本が若干だが上回る。とはいえ、菊池がリーグ最高レベルの素晴らしい投球を見せたことは疑いようのない事実だ。
 
 救援のサファテはずば抜けており、日本シリーズでの大活躍も予想しうるものだったと言える。対戦打者の半数近くから三振奪う投球を見せられると、点を奪うのは至難の業だ。
 
 「より重要な場面での投球」に重みをつけて評価するWPA(Win Probability Added)でもパ・リーグ投手最高の4.95を記録しており、勝敗を左右する場面で多くアウトを獲っていた様子もわかる。どの角度から見ても文句のつけようのないシーズンだった。
 



初回から大量得点が期待できる強力な上位打線が完成
 ショート、サードの2ポジションで1人に絞ることができなかった。セ・リーグ編では「NPBの代表チームとして、ある1試合に勝つためのベストオーダー」という基準で選び、同程度の貢献を果たした選手の中で、機会の少なかった選手を高めに評価することとしたが、パ・リーグでそのルールを用いるのは少々抵抗を感じてしまった。
 
 ショートは故障で出場機会を減らした茂木を選出することになるが、入団から2年続けてシーズンを通してプレーできていない実情を考えると、フルシーズン換算した成績を信頼するのは現時点では難しい。ここは攻守でバランスのよい働きを見せた今宮とさせてほしい。
 
 サードも今季の質のまま中村奨が出場機会を伸ばすことがあれば、ウィーラーや松田を上回る貢献になりそうだが、キャリアハイとなった今季の成績をフルシーズン換算するのはこちらも非現実的だ。ここは現実的にウィーラーに守備、走塁面で大きな差をつける松田を選出したい。
 
 なお、1、2番に出塁力に長けた強打者を優先的に置く、セイバーメトリクスで提唱されることの多い形に則った打順も、一案として挙げておく。
 
1指名 近藤 健介(日本ハム)
2右翼 柳田 悠岐(ソフトバンク)
3中堅 秋山 翔吾(西武)
4一塁 山川 穂高(西武)
5二塁 浅村 栄斗(西武)
6左翼 西川 遥輝(日本ハム)
7三塁 松田 宣浩(ソフトバンク)
8遊撃 今宮 健太(ソフトバンク)
9捕手 甲斐 拓也(ソフトバンク)
P先発 則本 昂大
P救援 デニス・サファテ
 
野手の評価について
 今回のベストオーダーの検討では、打撃に関してはwRAA(weighted Runs Above Average)を、守備についてはUZR(Ultimate Zone Rating)を用いている。
 
 wRAAは、打撃を出塁力と長打力の両面から評価して、得点をつくり出す上でどれだけ働きを果たしたかを評価した数字で、基準(ゼロ)を平均的な打者が同じだけ打席に立ったときの働きに置いており、それに対しどれだけ差をつくったかを示している。今回は走塁や球場の性質などは考慮していない。
 
 UZRは、打球をいかにアウトにしたかをベースに、失策の数、また外野手は走者の進塁をいかに阻んだか、内野手は併殺をどの程度完成させたかも考慮している。キャッチャーについては、盗塁抑止と捕逸の少なさ、その他の失策の少なさで評価しており、リードやフレーミング(ストライクゾーンの際のボールのキャッチング技術)などは考慮していない。
 
 投手については本文にて説明した通り、投球回と奪三振、与四球、ゴロ割合という失点を減らす上で重要な要素と、それらを使って算出する総合指標WAR(Wins Above Replacement・先発投手の場合)とWPA(救援投手の場合)を用いた。


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