エコラボはこのほど、ノロウイルス感染予防の盲点や予防のテクニックについて明らかにした。

ノロウイルス食中毒事件の月別発生数

下痢・発熱・嘔吐などを引き起こすノロウイルスは、毎年11月頃から流行が本格化する。感染力が非常に強く、ごくわずかなウイルスが体内に入るだけで感染するのが特徴。二枚貝などの食品だけでなく、感染者のふん便や嘔吐物で汚れた手を介し、ドアノブなど身近な場所にウイルスが広がるため、日常生活における予防意識が重要となってくる。

ノロウイルスは、感染しても症状が出ないことがあり、これを「不顕性感染」と呼ぶ。不顕性感染者も通常患者と同じように便からウイルスを排出し続けるが、感染しているという自覚がないため、汚染を広げてしまうとのこと。

ウイルスのタイプや感染者の健康状態にもよるが、ある集団食中毒事件の調査では、非発症者の20%がノロウイルスに感染していたという事例もある。体調に問題がないとしても、個人が日常生活で衛生管理をしっかりと行うことが、ノロウイルスの感染予防には大切であるとしている。

日常生活で気をつける点として、「トイレの使用方法」「手洗い」「嘔吐物の処理方法」の3つが挙げられる。手洗いはハンドソープを使って20秒以上をかけてていねいに洗うことが大切。また、アルコール消毒は手洗いの代用にはならず、手洗いと併用するのが有効だとのこと。

さらに手が荒れていると、ヒビなどにウイルスが入り込みやすくなるので、荒れを防ぐためにハンドクリームなどの保湿ケアをするのもよい。

トイレで排便後にお尻を拭く際は、トイレットペーパーで覆われていない親指の付け根が最も汚れやすいという。長袖の場合は、袖口にも汚れが付着しやすいため、袖をまくるようにするとよいとのこと。トイレ後の手洗いでは、親指の付け根をねじり洗いすると効果的だという。

トイレ後の手洗いでは、親指の付け根をねじり洗いすると効果的

トイレを使用後、水を流すタイミングも感染予防の大きなポイント。排便や嘔吐した後、トイレのフタを閉めないで水を流すと、ウイルスが空中に飛散してしまうため、必ずフタを閉めて水を流すことが大切だという。海外の研究では、フタを閉めずに水を流すと便座の上25cmまで飛散し、90分間も浮遊するというデータもあるとのこと。

嘔吐物を処理するときに重要なことは、絶対に素手では触らないこと。多くの除菌成分は有機物(固形物)と共存すると失活しやすいため、嘔吐物に直接除菌しても効果は薄いとのこと。処理に使用したものは嘔吐物と一緒に処分し、処理後はしっかりと手洗いすることも大事だとしている。

また、嘔吐物が飛び散る可能性があるため、処理にあたる人以外はその場から少なくとも3メートルは離れたほうがよいとのこと。