地球温暖化防止対策を議論する「気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)」が6日、ドイツ・ボンで開幕した。対策の新しい枠組み「パリ協定」が2020年から実質的に効力を発揮する。今回会議は20年に向け、実施ルールを話し合うのが目的。6月にトランプ米大統領がパリ協定の離脱を表明した後、初の重要会議で、温室効果ガス排出量が世界2位の米国抜きでどこまで実行力のある実施ルールづくりができるかが議論の焦点になっている。

写真1 ドイツ・ボンで始まったCOP23。左端はエスピノサ事務局長(提供・COP23事務局)

写真2 COP23の会場内の様子(提供・COP23事務局)

COP23事務局などによると、会議初日の6日は、海面上昇により温暖化の深刻な影響を受ける可能性が高い島しょ国・フィジーのバイニマラマ首相が議長に選ばれた。同首相は「気候変動によるハリケーンや森林火災、干ばつや洪水などが人間に脅威を与えており、今や時間の余裕はない」と強調。同条約のエスピノサ事務局長は「リスクを示す温度計が上昇している。各国の人々が(自然災害で)傷ついている」などと述べ、各国に速やかな対策強化を訴えた。

米国は条約そのものには引き続き加盟しているため今回会議に参加している。会議で米国がどのような主張をするか注目されている。17日までの会議期間中にパリ協定の締約国会合も同時に開催される。

パリ協定は、先進国だけが温室効果ガスの削減義務を負った京都議定書と違い、批准各国が自主的に温室効果ガスの削減目標を掲げている。このため各国で異なる排出抑制の具体策や取り組み状況をどのように公平、公正に検証するかが最重要事項で、実施ルールの内容が協定の実効性を左右するとされる。

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