朝日航洋は、NEDOプロジェクトにおいて、大阪府の協力のもと、水中点検用フロートロボットの実証実験を大阪府内2カ所で実施することを発表した。

大阪府・狭山池ダム

水中点検用フロートロボット

河川管理施設などの社会インフラは、今後の老朽化に対応するための十分な資金と高度な維持管理の専門知識を有する人材不足が社会問題となっている。こうした背景のもと、NEDOでは2014年度から「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、インフラ構造物に対して人間の立ち入りが困難な箇所へ移動し、インフラの維持管理に必要な情報を取得するロボットの研究開発を推進している。

朝日航洋は、同プロジェクトにおいて、水中点検用の各種カメラやセンサを備えた「フロートロボット」を開発している。このロボットは、河川やダムを航行しながら、河床やダム底の測量と精密な三次元形状の作成、管理施設(水上・水中)の画像取得を行い、点検業務支援の実現を目標とするもの。これにより、これまで人が行っていた河床やダム底の点検作業を、ロボットの支援によって、さらに安全かつ高精度に実施することを目指すとしている。

また、大阪府は効率的な都市基盤整備や維持管理に向けて、実証フィールドの提供を通じて、大学や国によるロボットなどの新技術開発を支援するとともに、技術の進歩に応じて最新技術の導入を図っていくという。

現在、ダム底の点検は有人船やダイバーによる人の作業であり、水際の作業には安全上のリスクがある。また、有人船による点検には作業範囲に限界があり一定間隔毎に作業をしているため、点検結果は二次元の断面図となる。

今後、フロートロボットを活用することができれば、人による水域作業を大幅に削減でき、安全性の向上が期待できる。また、フロートロボットは効率的にダム底全面の三次元形状を把握することが可能であり、より高精度な測量結果を得ることができる。朝日航洋では今後、この実証実験の結果を踏まえてフロートロボットの改良を継続し、早期の実用化を目指すとしている。

三次元形状図(イメージ)(出所:NEDOニュースリリース)

なお、実証実験は11月13日に平野川分水路・第二寝屋川にて、フロートロボットで河床の高精度三次元形状図を作成および護岸の映像を撮影。また、14日と15日には狭山池ダム(大阪狭山市岩室地内)において、フロートロボットでダム底の高精度三次元形状図の作成が実施される。