NECソリューションイノベータは11月7日、パーソナルデータ(匿名加工情報)の利活用を支援する「NEC データ匿名化ソリューション」の提供を開始した。価格は、1ライセンスあたり年間180万円(税別、導入支援サービス、運用支援サービス、導入後維持サービスなどの有償サービス有り)。提供開始後2年間で50ライセンスの導入を目指す。

新ソリューションは、k-匿名化技術(匿名加工情報に対して、他の情報との照合から個人の特定を防ぐための手法の1つ)を用いて、パーソナルデータを利用目的に合わせ、個人が特定できないように加工(匿名加工)し、情報を作成する。

これにより、パーソナルデータを保有する企業・団体などが、そのほかの企業・団体をはじめとした第三者に対して匿名加工により、プライバシー保護された匿名加工情報を提供することが可能になる。第三者は、分析に必要なビッグデータの1つとしてマーケティング活動などに利活用することができるという。

「NEC データ匿名化ソリューション」の活用イメージ

特徴として「データ利活用の目的に合わせた匿名化が可能」「異なる属性データの匿名化が一括して可能」「プライバシーリスクの可視化」の3点を挙げている。

データ利活用の目的に合わせた匿名化が可能な点については、項目ごとに匿名加工のレベルの設定が可能なほか、匿名加工情報の傾向が変化しない匿名化手法を採用している。

項目ごとに匿名加工のレベル設定では、データ利活用の目的に合わせて、年齢や住所などの項目ごとに匿名加工のレベルを設定することができる。例えば、年齢の項目において10代の占める割合が多い場合は「10~14歳」「15~19歳」「20代」「30代」「40歳以上」のように、年齢の幅(レベル)を設定し、部分的に細分化することを可能としている。

また、匿名加工情報の傾向が変化しない匿名化手法は「項目削除・レコード削除・セル削除」「一般化」「トップ(ボトム)コーディング」の3つの匿名加工の手法を採用し、ノイズ(誤差)付与やデータ交換などの手法を使用しないため、データの傾向を変化させずに匿名加工を行うことができるという。

異なる属性データの匿名化が一括して可能なことに関しては、住所や年齢など1個人に1つの値である「単一値属性」と、病名や投薬名のように1個人に複数の値が含まれる「集合値属性」のデータを一括して匿名化することができるため、有用性の高い匿名加工情報を得ることを可能としている。

プライバシーリスクの可視化では、匿名加工情報の個人が識別されるリスクの表示が可能なことから、リスクに基づいて匿名加工のレベルを選択し、プライバシーリスクの低減を支援するという。

匿名加工情報を提供された第三者の活用例としては、通信キャリアが保有している位置情報と滞留点を分析し、新規出店の計画や看板の効果的な設置に活用できるほか、小売り業者が保有している販売情報を分析することで、顧客属性ごとに販売実績が多い種類や色を把握し、商品開発やマーケティングに活用することを可能としている。