岡山大学は、目の病気の1つである「斜視」について、その発症に関連する遺伝子候補として2つの遺伝子(MGST2、WNT2)を発見したと発表した。

同成果は、岡山大学院医歯薬学総合研究科眼科学分野の松尾俊彦 准教授らの研究グループによるもの。詳細はアメリカのオンライン科学雑誌「PeerJ」に掲載された

斜視は一方の眼の視線がずれているため、両眼をうまく使うことが難しくなり、モノが立体的に見える機能が落ちたりする遺伝要因と環境要因の両方が発症に関わる「多因子疾患」として知られている。

研究グループは、2000年以降さまざまな臨床研究を実施し、斜視の発症には遺伝の要因が関与していることを明らかにしてきたほか、小学生の約1%に内斜視や外斜視があり頻度が高いことや、斜視患者では家族歴の頻度が高いことならびに、1卵性双生児は2卵性双生児と比べて斜視の表現型の一致率が高いことなどを証明してきた。

また、血液の白血球からゲノムDNAを抽出して、斜視の発症がどの染色体の部位(座位)と関連するのかについての調査も進めてきており、その結果、2009年に斜視の発症に関連する遺伝子座を発見したという。

今回の研究では、斜視関連の遺伝子座の4番染色体の4q28.3領域ではMGST2、7番染色体の7q31.2領域ではWNT2を斜視関連遺伝子として特定することができたとしている。

なお、今回の斜視関連遺伝子の解明について研究グループは、多彩な表現型をもつ斜視の診断精度向上につながる成果と説明しているほか、両眼をうまく使う機能「両眼視機能」を明らかにする第1歩になるとのコメントしており、今後、さらなる斜視に関する研究が加速していくとの期待を示している。