インクリメントPは、車載センサーを使った自動運転用高精度地図の分野において、ボッシュと協業することに合意したと発表した。

Radar Road Signature 概念図

自動運転を実現するためには、車両が自車の正確な位置情報を常に把握している必要がある。ボッシュはこれを実現するため、車載カメラとレーダーを使用した自車位置推定技術「Bosch Road Signature」の開発に取り組んでいる。

車載センサーから得られたデータはボッシュのクラウド上で加工され、そのデータ(ローカリゼーションレイヤー)は常に更新され、それをパートナー企業が作成する高精度地図に統合する。自動運転車両は、車載センサー経由で入手した物体に関する情報とローカリゼーションレイヤーから得た関連情報を比較し、自車の位置を推定する仕組みだ。

同技術では、数cm単位の精度で自車位置を把握できるのに加え、レーダーを使用しているため車載カメラをベースにした自車位置推定と異なり、夜間や雨天時など視界の悪い環境下でも自車位置を把握することが可能である。また、クラウドに送信するデータ量もカメラベースのマップと比べて抑制できる。

ボッシュは現在、北米や欧州、中国において主要なマッププロバイダーと提携し、同技術を使った自動運転用の高精度マップを開発している。今回のインクリメントPとの協業では、ボッシュがローカリゼーションレイヤーをインクリメントPに提供し、インクリメントPはこれを高精度マップに取り込んだ日本の自動運転用マップを作成するということだ。

今回の提携について、ボッシュのシャシーシステム コントロール事業部長、ルッツ・ヒレボルト氏は、次のようにコメントしている。「日本においてインクリメントPという素晴らしいマッププロバイダーをパートナーに迎えることができ、大変嬉しく思います。日本にパートナーを持つことは、Bosch Road Signature を自動車メーカーにグローバル提供できる体制を整えるための大きな前進です。この協業がボッシュの日本での自動運転開発をさらに加速させるでしょう」

また、インクリメントPの代表取締役社長の神宮司巧氏は「自動運転用高精度マップの作成・更新には、パートナーとの連携が不可欠です。また、自動運転の実現のためには正確な自車位置把握という課題があり、様々なセンサーフュージョンとマップとの適切なリレーションシップが必要です。今回の協業が、この課題解決の一助となることを期待しています。また、自動運転用の高精度マップにおける開発を強化することで、自動運転の実現と普及に貢献していきたいと考えています」と述べている。