グローバルにIR(統合型リゾート:Integrated Resort)事業を展開する中国500.COMの日本法人500ドットコムジャパンは10月26日に説明会を開催し、依存学推進協議会(CABS)と共同で、日本においてビッグデータを活用したギャンブル依存症対策の研究に着手することを発表した。

500.comは世界に約6000万人のユーザーを有する中国発のインターネットカジノ企業。同社はこれまでにも取得したユーザーデータを分析することで、依存症対策を実施してきた。今回の共同研究では、そのノウハウに、CABSによる日本市場での知見や科学的分析を加えることで、既存の依存症予防の高精度化、新しい研究テーマによる依存症の解明、新たな依存症防止策の構築など、ギャンブル依存症問題の解決に向けて取り組む。

説明会では、今回の共同研究の趣旨説明に加えて、500.comがこれまで実施してきた研究成果についての紹介も行われた。

データから要注意人物を抽出し、システムが利用状況をモニタリング

500.comでは、同社のオンラインカジノなどを利用するユーザーを6つのタイプに分類。なかでもベット金額と頻度が高いタイプや、滞在時間の長いタイプは、依存症防止重点対象としてカテゴライズされる。

ユーザーの分類

さらに、同社で使われているシステムでは、人、行動、金、時間をリアルタイムにモニタリングして、疑いのあるユーザーや行動を検出できるという。システムは基本防止策、事前防止策、利用時防止策、事後ケアの4ステップで構成される。

依存症防止システム

基本防止策では、ユーザーはベットする前に個人識別情報による承認が必要。また、自己抑制や自己禁止フォームへの入力が求められ、入力内容に従って上限額や頻度が決定される仕組みも設けられている。上限に達した場合は以降のベットができなくなる。

事前予防は、預り金と掛け金の上限をコントロールするシステム。ベッティング能力などの予測を基に、不規則な行動が起きる前にコントロールできる。

利用時防止策は、上限額をオーバーした場合や大金によるベッティングが認められた場合など、ユーザーから依存症の予兆を検知した際に、アラートが届くというもの。一定期間のアカウント休止や凍結などの機能もあるという。

事後ケアは、依存症回復を支援する取り組み。自己コントロールを失ってしまったりアカウントが凍結された場合は、同社の顧客サポート専門家がカウンセリングを実施するなどの対応がとられる。

500.com CEOの潘正明氏

500.com CEOの潘正明氏は、同システムについて「一般的に依存症対策と聞くと、事後ケアをイメージする人が多いかもしれませんが、われわれが特に重要だと考えているのは事前防止策。ビッグデータや表情を読み取る顔認識技術、クラウドコンピューティングなどの技術発展によって事前予防が可能になりました。依存症を発症する前に適切なゲーミング行動に修正することで、安心してゲーミングを楽しんでもらいたいと考えています」と述べた。

ビッグデータから支払い能力を予測し、数値モデルを構築

また同社は、ビッグデータを活用することで、ユーザーの支払い能力の予測値と支払金額の実績値の相関性を分析した数値モデルを構築。80%は正常なエリアに集まるが、予測値を大幅に上回る実績値が記録されると、依存症に発展する可能性があると検知されるようになっているという。なお、このモニタリングは24時間行われており、異常を感じ取ったらすぐに依存症対策が発動するようになっている。

ビッグデータを活用して以上を検知

また、結果発表の頻度が高いほど一定の損失額に到達する時間が短く、ユーザーの精神にネガティブな影響を与えることから、依存症発症率が高くなることが判明しているという。そのため、普段は低頻度のゲームをするユーザーが、高頻度のものにシフトするとシステムから注意喚起のアラートが届くようになっている。

CABS 理事長の西村周三氏

これらの研究成果を踏まえ、CABS 理事長で、京都大学大学院名誉教授と医療経済研究機構所長を務める西村周三氏は「これまで日本では、依存症対策は事後的なケアが中心だったので、事前対策のノウハウがほとんどありませんでした。500.comのデータを活用して研究を進めていきたいと考えています。また、日本の研究者も極めて少ない状態が続いていたため、研究を進めるためにも研究者の層を厚くしていかなければならないでしょう。そこで、今回の共同研究にあたっては、研究助成の仲立ちもしていく予定です」と、今回の共同研究に期待を寄せる。