日本IBMは10月20日、都内で記者会見を開き、業務プロセスを広範囲に最適化する自動化ソリューション「IBM Robotic Process Automation(RPA) with Automation Anywhere」の発売を開始したと発表した。今後、労働人口の減少は歯止めがかからないことが見込まれており、同社ではこれらの課題に対応したソリューションとして展開していく方針だ。

新ソリューションは、7月に発表したAutomation Anywhereとの協業によるものとなる。Automation Anywhereのソフトウェアロボットソリューション「Automation Anywhere Enterprise v10」に、IBMの既存のビジネスプロセス管理(BPM)製品「IBM BPM Express 8.6」をバンドルして提供する。

「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere」の概要

これまで、同社ではRPAをOEM提供していたが、RPAを運用するユーザーから業務全体の流れを把握したいなどの要望があったため、RPA単体だけでは限界があることから、BPMとバンドルすることで付加価値を高めたソリューションとして提供。

日本IBM クラウド事業本部 シニア・コンサルティング・ITスペシャリストの中村航一氏は、新ソリューションについて「BPMで現行業務を整理し、どこにボットを配置することが最良なのかを考えることがプロジェクトの成功を導く。新ソリューションは、反復のための自動化とプロセスの集約を実現する。自動化や作業のスピード化、人的ミスの削減といったRPAの効果に加え、業務の全体管理・可視化・分析・改善・柔軟性、知的作業のサポートなどのBPMの効果も合わせたソリューションとなる」と、説明した。

日本IBM クラウド事業本部 シニア・コンサルティング・ITスペシャリストの中村航一氏

Automation Anywhere Enterpriseは、開発環境「Bot Creators」、管理環境「Control Room」、実行環境「Bot Rnnners」の3つの環境を提供する。

開発・管理・実行の3つの環境を提供

Bot Creatorsは、レコーダーとタスクエディターの2種類のボット作成方法があり、レコーダーはデスクトップでの作業を記録することでボットを作成。タスクエディターは、レコーダーで作成されたボットの修正や新規マニュアルでボットの作成を行い、ボット作成のためにWebブラウザやアプリケーション、ファイルなどを操作する数百のコマンドを備える。

Bot Creatorsの概要

Control Roomは、ボットの管理や起動のスケジュール管理、稼働状況の把握により、ボットを集中管理する。ボットの実行状況を把握するダッシュボード、アップロードされたボットの管理を行うリポジトリマネージャー、ボットと依存ファイルの管理などを行うタスクスケジュール、進行中のタスクや履歴を表示するオペレーションルームに加え、ユーザー管理、監査証跡、すべてのイベントを表示可能な機能を有する。

Control Roomの概要

Bot Rnnnersは、ボットファイルを直接手動実行、Automation Anywhere Clientによる手動実行、Control Roomの管理コンソールからスケジューラーで自動配布&実行の3種類のボット実行を可能としている。

Bot Rnnnersの概要

IBMが新ソリューションで目指す場所

日本IBM 理事 クラウド事業本部 クラウドソフトウェア事業部長の望月敬介氏は「現在、金融や製造業、通信業から引き合いがあり、今後はさらに広がっていくだろう。われわれが目指す場所は人の作業に頼る業務や個人作業の集合体と乱雑な状況から、RPAを活用し、ボットで人の単純作業を効率化などを図り、そしてBPMにより人/ボットが共存することで業務全体を管理する」と、意気込む。

日本IBM 理事 クラウド事業本部 クラウドソフトウェア事業部長の望月敬介氏

また、同氏は中枢神経をIBM BPM、手をAutomation AnywhereのRPA、目をIBM Datacap、左脳をIBM Operational Decision Manager、右脳をIBM Watsonに例えて、業務改革/自動化をトータルで提供できることを強調していた。

サポート体制については、日本IBMがサポートを提供し、障害の重要度に応じて24時間365日サポートし、ソフトウェア導入・設計に伴うインプリメンテーションのパートナーとして、協和エクシオ、コムチュア、JIEC、PLCパートナーズ、ワイ・ディ・シーと協業する。

サポート体制の概要

価格は月額130万3000円(税別)~、IBM Business Process Manager Expressのライセンスは840PVU(ソフトウェアがインストールされるサーバー上に実装されているプロセッサーの種類に基づいて、IBM製品のライセンスコストを決定するために使用される計測単位)まで使用可能で、Automation Anywhereの5ボット、10開発者、3管理サーバーのライセンスが付属。さらに、1ボットあたり月額6万5200円(同)でボットを追加することもできる。