求む、“別格”の先輩を脅かすなでしこ新戦力 W杯予選へ見極めのスイス戦に臨む

なでしこジャパンとしても主力としての活躍が期待される長谷川、中里、清水 [写真]=J.LEAGUE

 10月22日、女子サッカーの「MS&ADカップ2017」なでしこジャパン対スイス女子代表が長野Uスタジアムで開催される。

 高倉麻子監督は2016年4月の就任以来、多くの選手を招集し、その可能性を試すことに費やしてきた。経験豊富な熊谷紗希(リヨン/フランス)、宇津木瑠美(シアトル・レイン/アメリカ)、横山久美(フランクフルト/ドイツ)、阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)、鮫島彩と中島依美(INAC神戸レオネッサ)はチーム内で別格といえる存在。彼女らをレギュラーから追いやるほどの新戦力はまだ現れておらず、残りのポジションを大勢で争っている。その過程で、期待をかけられながらポジション争いから後退あるいは脱落したとみられる選手もいる反面、結果を伴って信頼を勝ち取る選手も現れた。

 なかでもMF長谷川唯(日テレ)は、レギュラーをつかみ取ったという印象だ。長谷川は今年の代表戦10試合すべてに出場。左MFを主戦場とし、自ら2得点をあげたほか、相手最終ラインを突破する攻撃のシーンで重要なプレーを披露している。長谷川の優れた特徴は2つあり、その1つは「知性」だ。常にゲームの状況や対戦相手の心中を察しながらプレーを選ぶことができ、また自分の考えたこと、気づいたことを物怖じせず周囲に伝えることもできる。技術的にはドリブル、ターンを武器とする。

 長谷川同様、相手を背負った状態でのプレーが光るのは、同じく日テレのMF中里優だ。ボランチまたはサイドハーフでプレーする彼女は、身長148センチという体格のハンデも、ファーストタッチでのボールの置きどころでカバーする。また、こぼれ球を拾って前に進む一連のプレーはなでしこリーグでも評価が高く、国際試合でも十分に生かされている。

 長谷川、中里がここまで高倉監督の起用に応えたと思われる反面、守備陣は決め手のある新戦力が定着していない。先に挙げた熊谷、鮫島に加え、ケガで長期離脱中の有吉佐織(日テレ)が安定感で他の選手をリードし、また宇津木のDF起用も考えられるため、新戦力争いは激戦の状態だ。ただ、やはりどうしても最終ラインにはスピードのある選手が必要。そこで期待されるのが初招集の清水梨紗(日テレ)だ。

 清水はもともと日テレ不動の右SB。ところが今季途中、CBの村松智子が戦列を離れたことで急きょ配置転換されると、背後のスペースを広大にカバーして最終ラインを見事に再生させた。代表での起用がCBなのかSBなのかは未確認だが、なでしこジャパンが現状、スピードある縦攻撃にも横幅を大きく使ったサイドアタックにも対応に問題を抱えているだけあって、清水がピースにハマる可能性は十分にある。

 ここまで挙げた選手3人は、いずれも日テレ・ベレーザ所属の選手。なでしこリーグ3連覇、今季ベストイレブンに8人選出されただけあって、ベレーザ勢の能力の高さはやはり際立つ。

 最後に、対戦相手のスイスについても少しだけ触れておきたい。スイスは2015年にワールドカップ初出場を果たし、今年夏の女子EUROにも出場(グループステージ敗退)した欧州の中堅国で、FIFAランキングは16位。また欧州はこの9月から2019年のワールドカップに向けた予選がスタートしており、スイスはアルバニア、ポーランドに連勝してグループ首位に立っている。しかし、2年前のワールドカップでも、また今夏のEUROでも活躍した攻撃陣のバッハマン、ディッケンマン、ヒュムは今回来日しなかった。

 なでしこジャパンにとってこのスイス戦は、12月に千葉・フクアリで開催される「EAFF E-1サッカー選手権2017」(旧東アジアカップ)、そして2018年4月にヨルダンで開催される「女子アジアカップ」(ワールドカップ予選)という公式タイトルに挑むチームの最強メンバーを見極める場となる。しかし今回対戦する相手は、欧州中堅国の自慢のアタッカー陣を除いたメンバーで構成されるチームである。そのことを頭の片隅に置きながら、なでしこジャパン各選手のパフォーマンスを楽しんでもらえたらと思う。

文=江橋よしのり


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