JR西日本は18日、電車が通過する際に屋根上・パンタグラフ・車輪の状態を自動的に把握できる機能を持つ「車両状態監視装置」を新たに導入すると発表した。

「車両状態監視装置」完成イメージ

機能の詳細と今後の方向性

この装置はおもに、線路上に設ける門型の柱に取り付けた測定センサや高解像度カメラをはじめ上方からの監視を行う部分と、線路付近に設置するセンサ・制御装置などからなる。上方に取り付けた機器では屋根上の状態の動画記録とパンタグラフすり板の寸法測定が可能で、測定結果の自動判定まで自動的に行える。現在は10日以内に1度行う仕業検査において係員が目視や測定器で状態を確かめているが、装置導入後は作業が大幅に削減され、撮影した動画記録や測定結果を地上側で確認できるようになる。

また、線路付近に設置する機器では車輪踏面の各部寸法を自動測定し、測定結果を自動判定することが可能。車輪がレール面を滑った際に車輪に発生する傷(車輪フラット)も検知できる。現在は90日以内に1回実施する交番検査において係員が床下から確認しているが、装置導入後は検査の自動化が可能に。これまで2人で1編成(8両)あたり約20分かかっていた測定作業が不要になり、装置内を列車が通過する1分ほどで測定できるようになる。

2018年春以降に在来線の16カ所で使用開始する予定で、「屋根上、パンタグラフ、車輪の状態を測定する頻度が高くなるので、これらに起因する不具合の未然防止につながります」とJR西日本。車輪を正常な状態に削る車輪転削作業もより状態に応じて実施できるようになるため、乗り心地の改善にもつながるという。