※2008/04/30掲載記事の再掲です

「日本人の出生率がますます低下? あまり関心がないな」という人も多いのでは? あながち人ごとといえないかもしれない。

一人の女性が一生に生む子供の数を示す「合計特殊出生率」。この数字が“2”を切ると、人口は減少傾向にあるとされる。先進諸国ではこの数字が低い傾向にあり、多くの国で2を切るが、「人口統計資料集2007」によると、この数字がさらに“1.5”を切っている国がある。韓国(1.08)、日本、イタリア(ともに1.32)の3国だ。(2006年まで)

日本では1989年に合計特殊出生率が急落した「1.57ショック」をきっかけに少子化対策に取り組んできたが、2005年に記録した1.26という過去最低の数字を示し、現在でも1.3の前半あたりで低空飛行を続けているように、出生率は上昇していない。

そんな中、自民党のある衆議院議員が提案したのが「独身税」というもの。この独身税、その昔ブルガリアで少子化対策として導入された税金だ。この独身税は、1968~1989年まで導入。独身者のみ収入の5~10%を税金として徴収するものだった。21年間にわたって徴収された独身税だが、この間、ブルガリアの特殊出生率が2.18から1.86(1970~1989年)に留まったことから見ても成果を挙げたとは言えない。

日本で独身税を導入する意味はあるのだろうか?

国立社会保障・人口問題研究所で「少子化問題」と「独身税」について話を伺った。「独身税については、独身であること、結婚していることに対する社会的な負担を国民がどう考えるかが問題。立場、哲学、個人によって考えが異なり、国民的な議論が必要だと思います。少子化対策も、結婚や出生が低調なことをどの程度、重要な問題と捉えるか、そこにどのくらいの支出・制約を受け入れるかが課題となるでしょう。」

一人ひとりが日本の現状を俯瞰して認識し、将来負担すべきコストについて、もう少し想像してみる必要があるのではないだろうか。

文●山崎義高(エフスタイル)