作家でエッセイストの阿川佐和子が、15日にスタートしたTBS系日曜劇場『陸王』(毎週日曜21:00~)に、舞台となる老舗足袋業者「こはぜ屋」の中心人物として出演。連続ドラマ初レギュラーの阿川を、重要な役どころで起用した理由とは? 伊與田英徳プロデューサーに話を聞いた。

「こはぜ屋」の縫製課リーダー・正岡あけみを演じる阿川佐和子

『半沢直樹』『下町ロケット』で知られる池井戸潤の同名小説を原作とするこのドラマは、倒産寸前の老舗足袋業者「こはぜ屋」が、仲間たちと共に復活を目指し、ランニングシューズの開発に挑んでいく物語。主人公の「こはぜ屋」四代目社長・宮沢紘一を役所広司、その長男・大地を山崎賢人、物語のキーマンとなる実業団「ダイワ食品」陸上競技部員・茂木裕人を竹内涼真が演じる。

阿川が演じるのは、「こはぜ屋」の縫製課リーダー・正岡あけみ。最高年齢75歳の「こはぜ屋」の縫製課を束ねる元気なおばちゃんで、感情表現が豊かなムードメーカーだ。長年培ってきた縫製技術はピカイチで、新規事業"陸王"のメンバーとして参加する。

伊與田氏は、過去に阿川が芝居しているところを見たことがあるそうで、「その時の演技の印象が残っていた」と言う。また、「『サワコの朝』(同局)など、阿川さんのトーク番組が好きで、おもしろい方だなと。そして、番組の中で進行していくさまが、あけみと通ずるところがあると思った」と起用の理由を明かした。

話を聞いて「なるほど」と思ったが、第1話の阿川の演技を見てさらに納得した。明るく元気に縫製課を引っ張り、みんなの気持ちがバラバラになりかけたときもリーダー力を発揮してまとめあげる。阿川自身のキャラクターや番組での進行力がそのまま生かされており、役ととてもマッチしている。

伊與田氏はまた、オファーしたときの阿川氏とのやりとりも話してくれた。「門前払いかなと思ったら、いきなり会いましょうということになって『私でいいのか見てください』と言われたんですが、逆にお会いしたときはこちらが試されているみたいでドキドキした。『なんで私なの?』などと僕の方がいろいろ質問されて、インタビュアー力がさすがだなと感じた」とその時の様子を説明。「楽しく1時間くらいおしゃべりして、そうしたら出演していただけることになって、うれしかったです」と喜んでいる。

さらに、演出を務める福澤克雄監督から「阿川さんとっても魅力的だ」と日に日に演技力に磨きがかかっていると報告されたという伊與田氏。おなじみのトーク番組での進行姿ではなく、演技する阿川佐和子にも注目だ。

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