東京工業大学(東工大)は10月10日、風力発電が大量導入された電力システムにおいて、電力の安定供給を可能とする制御技術を開発したと発表した。

同成果は、東京工業大学の定本知徳 特任助教、石崎孝幸 助教および、井村順一 教授らによるもの。詳細は米国電気電子学会誌「IEEE Transactions on Power Systems」のオンライン速報版に掲載された。

風力発電の導入量が増えるにつれて電力の安定供給が難しくなることから、風力発電が大量導入される将来を見据えて、電力の安定供給をより高い信頼性で実現する制御技術の開発が課題となっている。そのための制御アルゴリズムの研究開発が従来から盛んに行われているが、これまでの手法では、信頼性の向上を理論的に保証するために、電力システムを構成する全ての機器や設備などについて、知識や情報を必要としていた。しかし、非常に複雑かつ大規模な電力システム全体の詳細な情報を得ることは難しく、こうした既存のアプローチは現実的ではなかった。

研究グループは、電力システム全体の詳細な情報を必要とすることなく、風力発電機単体に関する知識や情報のみを用いて設計された制御アルゴリズムをそれ自身に適用するだけで、電力安定供給の信頼性を向上することが可能な、プラグイン型の制御技術を開発した。さらに、実データに基づく詳細なシミュレーション実験を行い、有効性を実証したとしている。

今回の成果を受けて研究グループは、この技術は、電力自由化に伴ってより一層の複雑化が予想される将来の電力システムに対して、電力の安定供給を実現するための技術として、その発展性が期待されるとコメントしている。