imec、医学向けマイクロオプトメカニカル圧力センサや神経プローブを発表

ベルギーimecは10月3日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンディエゴで「imec Technology Forum Health 2017」を開催し, 2つの医学向け電子デバイスを発表した。

1つは、MOMS(Micro Opto-Mechanical system)技術を採用した圧力センサである。同センサは、コンパクトで電磁妨害(EMI)に強く、多重化能力を備えながら、大きな圧力範囲で優れた測定精度を示すという。imecはMEMSとフォトニクスに関する独自の専門技術を活用することで、このセンサは医療分野やライフサイエンス分野などで高品質な検出を必要とするアプリケーションに使用する予定にしている。

MOMS技術を採用して開発された圧力センサ (出所:imec)

imecのグループリーダーで主任研究員であるXavier Rottenberg氏は同センサについて、「高品質のリモートセンシングが必要な頭蓋内圧や血管内血圧監視など、さまざまな生物医学的用途に使用することができる。このセンサは生体適合性も証明されており、金属部品がないためMRI技術と組み合わせて使用することができる。imecはMOMSベースの圧力センサの優れた性能は、現在のMEMSベースのデバイスを補完し、場合によってはそれを置き換える可能性を実証している」とコメントしている。

圧力センサは一般に、MEMS技術または光ファイバ技術のいずれかに基づいている。 MEMSベースの圧力センサは、優れた性能と小型化が実現できるため、一般に広く用いられてきた。一方の光ファイバーセンサは、EMIや高温下の過酷な環境での使用に適しているが、集積度が低く、複雑で高価である。

今回開発されたMOMSベースの圧力センサは、広い範囲にわたって、商業用MEMSに匹敵する性能とEMI干渉に対する高い耐性を示し、多重化をサポート。具体的には、100kPまでにわたって2乗平均平方根(rms)精度が1Pa以下で圧力を測定できるとしている。

数百の電極を備えた神経プローブも作製

imecが今回開発したもう1つのデバイスは、数百もの電極を持つ神経プローブである。シリコンプロセス技術を用いて設計・製作されたもので、単一のニューロンに接触して読み取ることができるため、脳の解明が加速され、最終的には人間の脳疾患に対する診断および補綴ツールにつながるとimecでは説明している。

シリコンプロセス技術を使って製作された多数の電極を持つ神経プローブ (出所:imec)

imecのプロジェクトマネージャであるMarleen Welkenhuysen氏は、「我々の目標は、脳皮質のマイクロ回路および脳深部構造を研究することが可能な神経プローブを作製することである。従来のプローブは、同時に捕捉できるシグナルの数に厳しい制限があったが、この新たなプローブにより、小さなニューロン回路や個々のニューロンのレベルで脳とインタフェースできる強力なシステムを作ることが可能となった」と述べている。

80歳以降、脳障害を患う確率は90%と言われているが、アルツハイマー病やパーキンソン病などの病気の治療法を見つけるためには、伝達する信号を化学的および電気的に計算してリレーする約800億個の相互接続された細胞からなる人間の脳がどのように機能するかについて、詳しく調べることが必要である。そのためには、脳内で何が起こっているのかを測定し、脳の活動を理解するためのツールが必要であり、今回開発された神経プローブは、その足がかりとなるという。

imecが今回開発したプローブはチップパッケージのサイズで、ベースチップと突出針で構成されている。針は生体適合性があり、脳組織の損傷を減らすために薄く(長さ8mm、厚さ50μm、幅100μm)、かつ針の軸に沿って数百の電極が配置され、それぞれが20μm×20μmの小さな正方形に配置されている。また、電極の密集したレイアウトを可能にし、同時にすべての電極を読み出すことができるようにするため、8つの電極を単一のワイヤでベースチップの電子回路に接続する独自の時分割多重方式を考案したという。

なお、同プローブは、2013年1月より4年間にわたって進められたEUの大型プロジェクトである「NeuroSeeker」の研究テーマの1つとして作製されたもの。imecでは近年、「Embracing a better life (よりよい生活を実現する)」を新たなスローガンとして、半導体・ナノテクノロジーの医学・ヘルスケア分野への応用に注力している。

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