北大、ミツバチ由来抗菌ペプチド「アピデシン」の標的分子を解明

北海道大学(北大)は10月11日、抗生物質に代わる抗菌物質として期待されるミツバチ由来抗菌ペプチド「アピデシン」が標的とする分子を解明したと発表した。

同成果は、北海道大学大学院工学研究院応用化学部門 松本謙一郎准教授らの研究グループによるもので、9月22日付の英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

アピデシンは、動物の細胞に対しては害がなく、病原菌であることが多いグラム陰性細菌を標的とする抗菌ペプチド。標的とする細菌の細胞膜を透過して細胞内の標的分子に作用することで抗菌効果を発揮すると考えられているが、明確な抗菌作用の分子的なしくみは解明されていなかった。

アピデシンの概要。化学式中のオレンジの丸はアミノ酸配列 (出所:北大Webサイト)

今回、同研究グループは特定の遺伝子を過剰に発現させることで標的とする分子を見つけ出すARGO(Acquired Resistance induced by Gene Overproduction)法を開発した。過剰発現させた遺伝子が作り出すタンパク質が標的分子だった場合には、その細菌の抗菌物質への抵抗性が高まり、細胞内で抗菌物質の作用が弱まることから、標的分子を見つけることが可能となる。

アピデシンによって細菌のタンパク質の生合成が阻害される現象が観察されたことから、同研究グループは、タンパク合成に関与する個々のタンパク質をそれぞれ過剰発現させ、ARGOにより細胞内の標的分子を探索。この結果、アピデシンはタンパク質生合成における翻訳の最終段階に関与する、翻訳終結因子というタンパク質が標的分子であることがわかった。

また、ARGO法を標的タンパク質が明らかになっている他の抗生物質に対して適用したところ、作用標的タンパク質の発現量に応じて抵抗性の向上が見られたことから、同手法はアピデシンに限らず作用標的が未知の抗菌物質の作用メカニズム解明にも応用可能であると考えられるという。



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