米Boxは10月10日、Box内に保存されているコンテンツに対して、コンピュータビジョンによる画像認識、動画のインデックス作成、感情分析などの機械学習ツールを適用するためのフレームワーク「Box Skills」を発表した。これにより、企業はインサイトを導き出し、コストや非実用性の観点から難しかったビジネスプロセスのデジタル化、自動化を再考することができるという。

同社は、米国で開催されている年次イベント「BoxWorks 2017」においてIBM Watson、Microsoft Azure、Google Cloudを活用したBox Skillsと、カスタムスキルを構築するためのデベロッパー向けリソース「Box SkillsKit」を発表した。

Box Skillsは、オーディオファイルからテキストを抽出してインデックス付けすることで、さまざまなユースケースにおいて容易な検索と活用を可能にする。また、画像ファイルの個々のオブジェクトやコンセプトの検出、光学式文字認識(OCR)による文字の識別、画像カタログ上メタデータを容易に構築するための画像へのキーワードラベルの自動追加も行うという。

一方、Box Skillsを構築できるデベロッパー向けリソースであるBox SkillsKitは、カスタムスキルとしてインテリジェントなビジネスプロセスを実現する複数のスキルとの連携、特定のワークフローに対するサードパーティによる機械学習ソリューションの活用、ビジネスや業界に特有のデータを取り扱うスキルのトレーニングを含めることを可能としている。カスタムメイドのBox Skillsを構築するためにクラウドサービスプロバイダー、独立したソフトウェアベンダー、システム・インテグレーター、企業によるエコシステムを実現するという。

さらに、同イベントでは個人ユーザーと企業ユーザーの両方に向けて強化された新しいエクスペリエンスとサービスを提供するためにBoxが活用する、コンテンツ、リレーションシップ、アクティビティで構成するネットワーク「Box Graph」も発表。

同ネットワークは、機械学習により継続的に改良されるほか、すべてのデータが顧客のセキュアなBoxインスタンスに常に保持され、アクセスを許可されたファイルやコンテンツのみを閲覧・使用できるようにするために、Boxに内蔵されている権限許可、セキュリティ、コンプライアンスの基準によって管理される。

加えて、同ネットワークを活用した「Feed」を新たに公開、これは各Boxユーザーに最も関連性のあるアップデート、インサイト、コンテンツをキュレーションして表示するパーソナライズされたアクティビティフィードとなる。

Feedを活用した場合、チームと協働しているコンテンツについて、何に注意する必要があり、どのような情報が常に知らされているかを直ちに確認することができる。また、チームの活動や協力者のネットワークに基づいて、チームに推奨するコンテンツを発見することに加え、社内でその時に人気のあるコンテンツの動向を確認できるという。

そのほか、検索の強化やパーソナライズされたファイルおよびアプリの推奨、異常・脅威の自動検出のような新しいセキュリティサービスといったアプリケーションが予定されている。

Box Skillsフレームワーク、デベロッパー向けのSkills Kit、音響および映像認識の技術は現在開発中となり、β版の提供時期および価格の公開については2018年初めが見込まれている。Google Cloudを活用した画像認識スキルは現在、ベータ版で提供しており、FeedはBoxユーザー向けに来年提供を予定している。