インテルは10月11日、都内にて「FPGA テクノロジー・デイ2017」を実施した。イベントでは、同社のFPGA製品およびFPGAを用いたソリューションの最新情報が、講演およびパートナー企業20社によるデモ展示にて紹介された。

インテル FPGA テクノロジー・デイ 2017

「大量データ時代」の到来

近年のAIやIoTといった技術の進化は目覚ましく、2025年には、約800億ものデバイスがインターネットに接続するとまでいわれている。まさに、「大量データ時代」の到来だ。講演を行ったインテルの代表取締役社長である江田麻季子氏は、「大量のデバイスがスマートにつながる世界の実現を加速するためには、FPGAが不可欠なものとなる」と説明した。

爆発的なデータ量の増加は、同時にデータの移動量と処理量の増加を意味する。そこで重要になるのが、デバイスごとの作業負荷(ワークロード)の高効率化だ。具体的に、セキュリティやデータ処理、画像処理やトランスコード、AIおよび機械学習などといったワークロードが大幅に上昇することとなる。これらの作業の高効率化を実現するものが、FPGAであるという。

FPGAはコンピューティングの最適化に貢献する

「FPGA」によってデータ処理を効率化

FPGAは、低遅延性、高電力効率性、並列性などといった特徴をもつ。そのため、消費電力を減少させ、リアルタイムの並列処理を可能とし、運用効率の向上を実現する。これにより、大きく6つの分野での利用が期待できるとしている。5Gワイヤレス、レーダーおよび航空宇宙、ネットワーク、クラウド・コンピューティング、スマートシティ、自動運転の分野だ。

例えば、クラウド・コンピューティングの分野において、ビデオ・ストリーミングで1台のサーバーが複数のワークロードを実行する場合、FPGAを用いることで圧縮やトランスコードなどの作業の高速化に集中し、要求がひと段落ついたタイミングで、そのほかのタスクを処理する、といった工程を踏むことで、作業の効率化を実現することができる。

ユースケース:FPGAによるデータセンタの効率向上。ビデオ・ストリーミングで1台のサーバーが複数のワークロードを実行する場合、FPGAは圧縮やトランスコード、アダプティブ・ストリーミングの高速化に集中し、要求がひと段落すると、そのほかのピークを持たないタスクを処理することで、ワークロードの高速化を実現する

また、同社のパートナー企業におけるFPGAを用いた取り組みも紹介された。さくらインターネットでは、データセンタにFPGAを搭載し、ユーザーがインターネット経由で「Arria 10 FPGA」搭載サーバを利用できるサービスを開発しているという。

さくらインターネットの、FPGAホスティング(α)

同サービスを用いたユーザーのユースケースとしては、リアルタイムでの画像処理、大量データの一括処理などのほか、FPGA設計環境として、IP製品の開発・インターネットを通じた動態デモンストレーションなどといった内容を想定しているという。

FPGA開発の高速化を実現するプラットフォーム

このように幅広い分野で用いられているFPGAだが、同社では、さらなる発展のために、インテル アクセラレーション・スタック(インテル Xeon CPU & FPGA対応)を提供する、「プログラマブル・アクセラレーション・カード(PAC)」を開発。サンプル提供を開始している

同製品は、同社製のFPGAカードと開発環境、ライブラリ環境をひとまとめにし、共通化されたプラットフォームを提供するもの。カードには「Arria 10 GX FPGA」を採用しており、最大1.3TFLOPsのデジタル・シグナル・プロセッシングを実現する。サーバ用途に特化しており、データセンタにおける幅広いFPGA導入が行えるとしている。

「Arria 10 GX FPGA」