九州大学(九大)は、燃料電池と太陽電池を融合する同一触媒の開発に成功したことを発表した。研究グループは、同研究成果はエネルギー研究の分野において格段の発展と波及効果をもたらす可能性があるとしている。

同成果は、同大のカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)/九大大学院工学研究院の小江誠司 主幹教授らの研究グループと、田中貴金属工業との共同研究によるもの。詳細は、ドイツの学術雑誌「ChemCatChem」(オンライン版)に掲載された。

参考図。「H2」の赤丸は「水素酵素(ヒドロゲナーゼ)を範とした燃料電池のアノード」、「H2O」の緑丸は「光合成を範とした太陽電池のアノード」を、「O2」の青丸は「呼吸(シトクロームcオキシダーゼ)を範とした共通のカソード」を表す (出所:九州大学Webサイト)

従来、燃料電池と太陽電池は別々に開発されていたが、同研究では、自然界の水素酵素と光合成の機能を融合した触媒を開発。また、この触媒を用いることで、水素をエネルギーとして燃料電池が、水と光をエネルギー源として太陽電池が駆動することを見出した。

研究グループは同成果に関し「この開発がきっかけとなり、将来、水素は夜間のための燃料となり、昼間は水をタンクに入れれば、車が走る時代が到来することを期待する」とコメントしている。