ファナックは10月3日、製造業における生産性向上と効率化を目指したオープンプラットフォーム「FIELD system」の日本国内でのサービス運用を10月2日付で開始したことを発表した。

同サービスは、2016年4月よりシスコシステムズ、ロックウェル・オートメーション、Preferred Networksと共同でハードウェアを含むプラットフォーム、関連ネットワーク構成などの開発を開始した後、2016年7月にNTT、NTTコミュニケーションズ、NTTデータがサービス基盤やアプリケーションおよびコンバータなどの開発に参加する形で、開発が進められてきたもの。

今回、提供が開始されたのは、4つのアプリケーションと2つのコンバータで、いずれも「FIELD systemアプリケーションストア」からネットワーク経由で購入することが可能となっている。

提供を開始したアプリケーションは以下の4つ

  • 製造機器のデータの統合的な見える化・分析を行う「iPMA」
  • 製造機器の予防保全機能を実現する「iZDT」
  • 工作機械の加工時間を高精度に予測する「加工時間予測」
  • 製造現場の利用者の操作権限や操作履歴を管理する「個人認証・履歴管理」

また、提供が開始されたコンバータは以下の2つとなる

  • ファナック製機器のコンバータ(CNC、ロボット)
  • OPC UA コンバータ

ファナックの代表取締役会長 兼 CEOの稲葉善治氏

このほか、発表会に登壇したファナックの代表取締役会長 兼 CEOの稲葉善治氏は、サードパーティ製アプリも近いうちに提供を開始する予定であること、ならびに2018年3月末までのスケジュールで、Preferred Networksによるディープラーニング対応アプリを3~4つ提供する計画であることや、2018年4月以降に北米ならびに欧州をはじめとした海外展開を進めていくことを明言。「従来は、工作機械やロボットをいかに早く、正確に動かすか、信頼性や安定性をどのように向上させるかが、製品開発の中心となっていたが、IoTやAIの発展により、機械同士がネットワークで接続され、全体最適化を図る必要がでてきた」とし、それを実現するのがFIELD systemというプラットフォームであることを強調し、今後も日々、進化していくことへの期待を述べた。

FIELD systemのサービス提供スケジュール

また、そうした製造の未来の姿を実現するためには、沢山のパートナーとの協力が必要であり、今後、そうしたパートナーとの連携強化も強力に推進していくとした。 なお、FIELD systemは当初、2016年12月末の出荷開始を目指していたが、稲葉氏によると、「世界で初めて、完全なオープンプラットフォームを出したいという思いでスタートしたが、開発を開始してみると、想定以上に複雑なシステムとなっていることがわかった」としたほか、サポート体制の充実なども必要という判断から、今日まで延期を決定したという。そのサポート体制については、今回のリリースに合わせて「FIELD systemサポートコールセンタ」を新たに開設。ユーザーからの問い合わせや不具合情報の受付窓口としての機能を持たせ、事象に応じて、ファナックや関係各社へのサポート依頼なども行っていくとしている。

FIELD systemの概念図とパートナーの構成イメージ