東京理科大学(東理大)は9月28日、アメリカ国立電波天文台のグリーンバンク100m 電波望遠鏡を用い、分子雲で直線炭素鎖分子C7Hの検出したと発表した。

分子雲と直線炭素鎖分子C7Hのイメージ図(出所:東京理科大学Webサイト)

同成果は、東京理科大学研究推進機構総合研究院の荒木光典 プロジェクト研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は国際科学誌「The Astrophysical Journal」掲載された。

直線炭素鎖分子とは、黒鉛、ダイアモンドに次ぐ、炭素の第3の形態であり、宇宙空間で検出されている分子種の4割程度がこのグループに属する。この中でも、長い炭素鎖分子の発見は、宇宙の化学組成と化学進化の解明の鍵となる。

今回の研究では、42.8と44.6GHz帯に現れる4本の電波信号の観測を行い、その微弱な信号の積算処理を行った。その結果、はっきりとした直線炭素鎖分子C7Hのピークが浮かび上がった。この分子は、奇数個の炭素を持つ直線炭素鎖分子クムレン(C2n+1H)類の中で、これまでで最も長いものだという。

研究チームは同成果によって、他の暗黒星雲や星形成領域でもC7Hが観測できる可能性があるとしている。また、さらなる観測が進み、分子雲の化学組成と化学進化が明らかにし、原始地球にもたらされた有機物の起源が解明されることを期待するとしている。