コンカーは9月25日、JR東日本のICカード「Suica」の利用履歴データを「Concur Expense」と直接連携させ、経費精算を自動化する実証実験を2017年10月より2019年年度末まで行うと発表した。実証実験の結果を踏まえ、2020年には実用化する予定だという。

データ連携イメージ

コンカーはこれまでも、USB接続、ネットワーク接続のカード読み取り機を提供して、「Suica」内の利用履歴を経費精算に利用するソリューションを提供してきたが、読み取るための機器が必要でその管理が煩雑な点や、カード内に履歴データが20件しか保管されていないという課題があった。

自動転送で従来の課題を解決

そこで同社は今回、JR東日本が持つ「Suica」の利用履歴データを「Concur Expense」と直接連携させ、自動で経費精算を行う取り組みを開始する。

連携する「Suica」データは、利用会社、乗車駅、降車駅、利用額、「Suica」の残高、日付、時刻などで、利用データはJR東日本以外にも、提携する私鉄、地下鉄、バス、タクシーで利用した「Suica」のデータも取り込む(バス、タクシーは乗車、降車の場所データはなし)。利用データには私的な利用も含んでいるため、コンカーのシステム内で、経費か私的利用かをユーザーに判断させるプロセスを入れる。

連携するデータ

私鉄、地下鉄、バス、タクシーで利用したSuicaのデータも取り込む

タクシーの利用に関しては、今回、日本交通、国際自動車、大和自動車交通も今回の実験に参加する。

日本交通 代表取締役社長 知識賢治氏は、「Suicaに対応するタクシーはまだ少ないが、東京オリンピックまでに半数以上のタクシーを対応させたい」と述べた。

実験では個人情報の扱いに配慮し、データ連携の許諾を得た社員のみ実施。個人の紐付けは、「Suica」のID番号とコンカーのログインIDによって行うが、その紐付け情報をどこに保存するかといったことは、今後検討するという。

コンビニや自動販売機等の物販データは今回利用しないが、将来は利用を検討するという。

実証実験における提供サービス仕様

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏は、「日本の一般的なサラリーマンは、経費精算に毎月平均48分かかっており、これは生涯で52日間を要することになる。これは大きな無駄だ。今回の取り組みは、経費精算をなくし、働き方改革、生産性向上を実現するために実施する。今回の取り組みは、経費精算の決定打で、日本のスタンダードとなる」と語った。

実証実験では、技術仕様の検討・策定、テストマーケティング、他ICカード事業者へのデモの提供の3つを行う。実験には5社、500名以上の参加を目指す。

テストマーケティングは、利用を希望するユーザーの測定(市場規模)、サービスの利用方法(利便性)、希望価格、電車・バス以外の物販等に関する利用状況、効果測定などを行い、他ICカード事業者へのデモの提供によって、全国の鉄道やタクシー会社への利用拡大を図っていく。

実証実験での確認項目