ブリティッシュ・エアウェイズは9月22日、家庭ごみを機体の動力となる再生可能ジェット燃料に転換させるごみ処理場を設計する業務提携を締結したことを発表した。再生可能燃料開発企業であるVelocysとの提携は、ブリティッシュ・エアウェイズの長期的かつ再生可能な燃料オプションを開発する計画の一環となる。

2050年までに正味排出量を50%削減させることを目指す

最初に建設予定の工場では、埋立て、または焼却処理予定にあったオムツ、プラスチックの食品容器、お菓子の包み紙といった年間数十トンの家庭ごみを収集し、大気汚染物質を排出しない再生可能燃料に変質させる。これにより、ブリティッシュ・エアウェイズの公約の通り、2050年までに正味排出量を50%削減させることを目指す。

今回の取り組みは、航空業界の二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、埋め立て処理されるごみの量を大幅に削減することにもつながる。英国では、現在でも年間1,500万tの廃棄物が埋め立て場に廃棄されているが、これは自然環境を損なうだけではなく、気候変動に影響を与える温室効果ガスも排出していることを意味する。

建設予定の工場では、カリフォルニア州サンノゼ線、およびルイジアナ州ニューオリンズ線を運航するブリティッシュ・エアウェイズの全ての787ドリームライナーが1年間に必要な燃料を作成する。これほどの規模の工場建設は初の試みであり、今後10年にわたり、ブリティッシュ・エアウェイズはより多くの持続可能なジェット燃料での機体運航を計画している。

同工場で製造されるジェット燃料は、従来の化石燃料を比較すると60%の温室効果ガス排出削減を実現し、年間6万tの二酸化炭素削減につながる。これにより、グローバル規模での二酸化炭素排出削減だけでなく、主要空港周辺の空気の環境改善にも貢献することとなる。

英運輸省はこのほど、再生可能運輸燃料義務(Renewable Transport Fuel Obligation)への修正を発行し、その奨励制度の中に持続可能な再生ジェット燃料が初めて記載された。再生可能運輸燃料義務への修正は、持続可能な航空業界を目指すよう設定されている。この義務が実行されれば、航空市場を長期的にサポートすることが予期される。

ブリティッシュ・エアウェイズの親会社であるIAGの最高経営責任者ウィリー・ウォルシュ氏は、「持続可能な燃料は、グローバルに展開する航空業界において非常に重要な役割を担うため、当社も来たる未来に備えています。家庭ごみをジェット燃料に転換させるというのは埋め立て場を削減させながらクリーンな燃料を精製するという素晴らしいイノベーションです。革新的な運航技術の開発から、最新の効率的な機体への投資まで、弊社は二酸化炭素排出量削減に向けて、リサーチを行い、その方法を見出し実施してきた実績があります。今回の提携は、これらのブリティッシュ・エアウェイズの試みと合致しており、長期的な未来、ひいてはお客さまへのサービス向上に対し投資を続ける弊社の姿勢をご理解いただけるかと思います」とコメントしている。