宇宙航空研究開発機構(JAXA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)は9月20日、30年以上にわたって続けてきた両機関の協力をさらに拡大・深化させるべく機関間の会合を開催したほか、新たな協力分野についての共同声明を発表した。

共同声明は、具体的には2016年2月に取り交わされた「戦略的機関間協定」のもと、地球規模の社会課題の解決のための航空宇宙技術の開発と利用、研究開発プロジェクトとミッションに関する共同作業の推進、日独協力のシナジー効果を通じて両国の競争力の強化を目指すものだという。

特に、以下の3分野については、今後、さらなる共同の試みを検討していくとの意向を表明している。

  1. 衛星による温室効果ガス(GHG)観測データの精度向上と同データの利用を共同で促進し、気候変動問題に対応するための政府レベルの取り組みや気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の議論に貢献することで、パリ協定の効果的な実行に寄与する
  2. 国際宇宙ステーション(ISS)を含む微小重力環境を最大限に活用していくほか、地球低軌道以遠の宇宙探査における将来の協力可能性についても検討することを予定する。
  3. 惑星科学の分野でさらなる協力の可能性を検討する。両機関の象徴的な協力であり「りゅうぐう」に向け飛行中の「はやぶさ2」は2018年夏に目的地に到着予定だが、これに続くミッションとして、JAXAは「DESTINY+」と命名したミッションを計画中で、小型・軽量化された機器や高性能イオンエンジンにより、将来の深宇宙探査技術の実証を目指す。また、同ミッションは地球に生命居住をもたらした過程の理解も目指す。

なお、これらの共同活動について両機関は、今後6か月にわたって実施する予定としている。

写真の左がDLR長官のパスカル・エーレンフロイント氏(Prof. Dr. Pascale Ehrenfreund, Chair of Executive Board)、右がJAXA理事長の奥村直樹氏 (C)JAXA