ティントリジャパンは9月20日、スケールアウト型のオールフラッシュストレージの新シリーズ「Tintri EC6000 オールフラッシュシリーズ」(以下、EC6000)を発表した。同日からパートナー経由で販売される。参考価格は税別で1,348万5,000円(論理実効容量19TB)~。

「Tintri EC6000 オールフラッシュシリーズ」

EC6000には、サポートVM数が500の「EC6030」、同2500の「EC6050」、同5000の「EC6070」、同7500の「EC6090」の4機種がラインナップ。各モデルには4つの容量の基本モデルが用意され、全部で16モデルとなる。SSDの追加は同じ種類のものを、1本単位で可能だという。

EC6000のラインナップ

EC6000は、「T5000オールフラッシュシリーズ」の後継機種にあたるが、T5000シリーズおよびハイブリッドのT800シリーズは、時期を見て販売を終了し、EC6000に1本化される。

ティントリジャパン 職務執行者社長 河野通明氏は、「今後は、すべてオールフラッシュで提供していく。この市場は今後拡大していくことが予想されており、ティントリは、その市場に寄り添っていく」と、今後、SSDとHDDのハイブリッド製品は提供しないことを明らかにした。

ティントリジャパン 職務執行者社長 河野通明氏

EC6000のきょう体サイズはT5000と同様の2Uだが、T5000の2倍となる64台を1つのストレージプールとして扱うことができ、最大2000万IOPS、40PBの論理実効容量、48万台の仮想マシンを1つの管理コンソールで運用することができるという。また、ネットワークとして40GbEを採用している。

EC6000の特徴

今回の新シリーズに伴いアップデートされたオペレーティング システム「Tintri OS 4.4」には、新たなオプションとして「Tintriクラウドコネクター」(税別108万円~)を実装し、別途ゲートウェイを用意することなく、VMのバックアップ先として、Amazon Web Service(AWS)およびIBM Cloud Object Storageが利用できる。対応するのは、現在、VMwareのみだが、今後、他のハイパーバイザーもサポートされる。

「Tintriクラウドコネクター」

ただ、こちらは数時間~数日単位の長期保存用のバックアップ用途を想定しており、数秒単位のより高い事業継続性が求められるVMのバックアップに関しては、Tintriレプリケーションが推奨されている。Tintriクラウドコネクターを利用したバックアップでは、データの重複排除と圧縮のほか、暗号化も行われ、帯域を節約する処理が行われる。

そのほか、これまで同社ストレージのデータのみであったTintriアナリティクスのデータにVM単位のCPU、メモリ使用率が追加され、サーバリソースの将来予測が可能になったほか、 サブマウントごとに設定可能なマルチテナント クォータ機能を備え、QoSやデータ保護に関わるポリシーをTintri Global Centerにて一元管理するエンタープライズ クラウド アーキテクチャーを実現した。

Tintriアナリティクス

マルチテナント機能の拡張

河野氏は、今後のティントリの方向性について、「『パブリッククラウドの俊敏性をデータセンターで実現する』のが、今日お伝えしたいメッセージで、ティントリの軸だ。これまでのITモデルの強みは、オンプレミスで管理者が意のままに制御できる点だった。ただ、拡張性、サイロ化、コスト高という課題もあった。そのため、多くのお客様がパブリッククラウドを採用している。しかし、パブリッククラウドにも対応できないアプリがある、サービスが中断するリスクがあるという欠点がある。われわれは、それぞれのいいとこ取りをしようとしている」と、同社が「Enterprise Cloud」に注力する点を強調した。

Enterprise Cloudとは、パブリック クラウドと同じ俊敏性や拡張性を提供するように設計された、企業のデータセンターに設置されるクラウド インフラストラクチャのことだ。

そして、米ティントリ CTO&Co-Founderキーラン ハーティ氏は、Enterprise Cloudには、「Autonomous Operation(自律運用)」、「Analytics(分析)」、「Automation(自動化)」「Self-Service(セルフサービス)」の4つが柱になると語った。

米ティントリ CTO&Co-Founderキーラン ハーティ氏

Enterprise Cloudの4つの柱

自律運用では、人手を介さず、自動的にストレージの拡張やパフォーマンスの最適化を行うこと、分析ではリソースのリアル分析を行い、将来予測を行うこと、自動化では手動をなくし、リソースを節約し、エラーをなくしてプロセスをスピーディに実施すること、Self-Serviceではユーザー自身による管理を可能にする。

同社では今後、これらを実現するサービスをニーズに応じて、ユーザーがブロックのように自由に組み合わせ、セルフサービスとして利用できる環境を目指していくという。

Enterprise Cloudのプラットフォーム