凸版印刷は、同社が開発しているデジタルカメラ画像から三次元形状モデルを自動生成する画像処理技術の有効性を検証するため、本田技術研究所の協力のもと、自動車デザインの製作プロセスにおける性能評価実験を実施した。その結果、CADへの適用にも耐え得る高精度なモデル生成に成功したと発表した。

計測した自動車ドアのクレイモデル(左)と、今回生成した三次元形状モデル(右)

同技術は、東北大学大学院情報科学研究科の青木孝文研究室が開発した「位相限定相関法」に基づき、凸版印刷と東北大学で2014年に共同開発した多視点ステレオ技術であり、高精度な三次元形状モデル生成が可能となっている。

凸版印刷は今回、同技術のさらなる高精度化のため、ワークフローの中で対象物に合わせて対応点を最適化する対応点推定技術と、複数視点から推定された対応点を統合する技術の改良を行った。また、同技術を用いて材質や大きさ、形状の異なるさまざまな対象物を撮影し、三次元形状モデルの 生成実験を繰り返すことにより、生成アルゴリズムを改良し、より高精度な形状モデルの生成を実現した。

今回の結果を工業用三次元計測機の測定結果と比較したところ、誤差マップにおいて誤差が概ね±0.03mm以下である緑色の領域が多く、高精度であることが確認できた。また、モデリング分野で滑らかさを確認するために一般的に使用されているゼブラパターン、滑らかさを示す明確な縞模様が表示されたことから、簡易的モデリングに十分な形状であることが明らかになった。

今後はこの技術のさらなる精度向上を目指すとともに、形状モデル化可能な対象の拡大を図り、自動車を中心とする製品デザインを行う業界向けの三次元計測システムとして、2017年度中のサービ ス開始を目指して開発を進めていくとしている。

平滑化処理後の誤差マップ(左)とゼブラパターンの投影図(右)