近年、高齢者に対し自治体職員等のふりをして「健康保険料の還付がある」「税金の還付がある」などと偽り、ATMに行くよう誘導する、いわゆる「還付金詐欺」に関する相談が多く寄せられているという。

こういった現状を受けて、国民生活センターは9月14日、被害の未然防止・拡大防止のため、改めて消費者に注意を呼びかけるとともに、「還付金詐欺」に関する情報を公開した。

相談件数のうち、60歳以上が9割超

「契約当事者の年齢と性別」

2012年4月~2017年8月にかけて寄せられた還付金詐欺に関する相談の内訳をみると、契約当事者(電話等がかかってきた当事者のこと)の年齢は「70歳代」が最も多く57.1%。次いで「80歳以上」(19.6%)、「60歳代」(19.1%)と続き、実に95%以上が60歳以上という結果に。また、男性よりも女性の方が多く、男性29.6%に対し、女性は70.4%を占めた。

「契約当事者が60歳以上の相談割合」

契約当事者が60歳以上の相談割合の推移をみると、2012年は、相談件数1,040件のうち60歳以上の割合は86.7%。その後、相談件数は年々増え続け、2016年には2012年の約7倍となる7,633件にまで増加し、60歳以上の割合は96.0%に達した。なお、2017年度は、8月31日時点で相談件数2,177件、60歳以上の割合は96.7%となっている。

約2割が100万円以上の高額被害に

「支払額の分布」

調査によると、還付金詐欺のうち「金銭を支払ってしまった」という相談は、2012年度以降361件発生しており、その割合は、還付金詐欺全体の1.7%になるという。

支払ってしまった金額は、「50万円以下」が52.9%、「50~100万円以下」が28.8%、「100万円以上」が18.3%となり、100万円以上の金額を支払ってしまったという相談も一定数寄せられていることがわかった。

還付金詐欺の手口の特徴と、消費者へのアドバイス

同センターは、多くの相談事例から還付金詐欺の手口の特徴と、消費者へのアドバイスを次のとおり挙げている。

■還付金詐欺の手口の特徴
・市役所などの公的機関の職員や金融機関の職員になりすます
・「手続きの期間が過ぎている」などすぐに手続きをしなければならないかのように信じこませ、人目につきにくいATMへ誘導する
・ATMでは自分の口座からの振り込みではなく、自分の口座への振り込み手続きをしているかのように錯覚させる
・振り込まれた金銭はすぐに引き出され、一度、振り込みの手続きをすると複数回振り込みをさせようとする」

■消費者へのアドバイス
・電話で「お金が返ってくるのでATMに行くように」と言われたら、それは還付金詐欺です。そのまま電話を切るようにしてください
・還付金等に心当たりがある場合でも、すぐにATMに向かったり、指示された電話番号に電話をかけたりせず、役所の担当部署に電話をかけて確認をしてください
・全国各地で起きているため、今後も還付金詐欺に注意が必要です
・「お金が返ってくる」など還付金詐欺に関する電話があった場合は、すぐに警察や消費生活センター等に電話するなど、周囲に相談をしてください

なお、還付金詐欺など生活の安全に関する相談は、警察相談専用電話「#9110」、または消費者ホットライン「188(いやや!)」番で受け付けている。