昭和電工は9月14日、パワー半導体の材料であるSiCエピタキシャルウェハ(エピウェハ)の高品質グレード品「ハイグレードエピ(HGE)」の生産能力を現在の月産3000枚から、2018年4月より5000枚に拡大する計画を発表した。

SiCは、次世代のパワー半導体として注目されており、高い成長が見込まれている。高電圧・大電流に耐えうるパワーモジュールには主にSBD(ショットキーバリアダイオード:Schottky Barrier Diode)とMOSFETが搭載されているが、現状、SiC-SBDの量産化が先行し、SiC-MOSFETの実用化には欠陥の低減が課題となっている。

同社が開発したHGEは、代表的な結晶欠陥である基底面転位を0.1個/cm2以下に抑えたエピウェハで、2015年10月の販売開始以降、SiC-SBD用途に加え、SiC-MOSFETの実用化に向けた採用も進んでいることから、その生産体制もフル稼働が続いており、2018年以降の市場の伸びに対応が難しいとの判断から、今回の生産能力の増強を決定したとする。

なお、同社では、SiCパワー半導体は車載での早期実用化も検討されており、SiCエピウェハの市場規模は2020年に200億円規模に拡大すると予想されていることから、今後も市場の高品質化要求に応えたウェハの提供を行っていくとしている。