名古屋工業大学とテック技販は9月14日、指先でさわった触覚を、皮膚で生じた振動として検知し、振動子を通して他者ともその触覚を共有できる、触覚記録装置「ユビレコ」を共同で開発し、9月18日よりテック技販から販売を開始すると発表した。

同装置は、名古屋工業大学大学院の田中由浩 准教授が開発したセンシング技術を基にして開発されたもの。高分子圧電素子のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムを用いて、各人の触覚を情報化するセンサを指に巻きつけて使用することで、対象を直接指で触ることができる点が、従来の触覚センサと異なっている。

センサ出力は、表面の粗さとの対応や異なるテクスチャの識別、人の主観的粗さ感とも良好な対応関係を有することが示されることを確認したとするほか、イコライザ機能により、取得したセンサ信号の周波数特性を調整でき、振動子により触覚を振動として提示することができることから、計測と提示が同時に行え、他の人とも触覚を共有することを可能としたとする。

また、特定の周波数を大きくするなどして、比較しやすくしたり、評価のポイントとなる周波数を、触覚提示を通じて検討したりできるほか、再生用アダプタをつけることで、取得したセンサ信号を入力して、触覚提示の再生も可能となっているという。

なお、同装置は、皮膚振動に注目し個々の皮膚特性や動作を含んだ、主観的な触覚を情報化するツールであるため、その活用は、製品管理や開発のための触覚の記録・分析・評価だけでなく、触覚提示技術の開発のための触覚データの収集や周波数変調の検討、さらに計測と提示を活用した新たな触覚技術開発、触覚の基礎研究など、幅広い応用が期待されるとしており、今後は機械、繊維、化粧品、医療、福祉、生産技術といったさまざまな分野・業種での応用が期待されるとしている。

触覚記録装置「ユビレコ」の仕組み (出所:名古屋工業大学Webサイト)