キャップジェミニは9月7日、9カ国、7つの業界・分野の企業のエグゼクティブ(シニアマネージャー以上)993名の意見および考えをまとめたレポート「Turning AI into concrete value: the successful implementers’toolkit」を発表した。調査対象は、人工知能を展開する1収益5億ドル以上の企業約1,000社、調査期間は2017年3月~6月。

AI技術展開による新たな雇用

調査によると、AI技術の結果として、83%の企業で新たな雇用創出が認められたという。さらに、AIを大規模に実装した企業の63%が「AIが企業内の雇用を破壊することはなかった」と回答した。

また、回答企業の大半(71%)がAI投資を活用すべく従業員のスキルアップや再教育、新しいスキルの習得を積極的に開始したり、大規模AI実装企業においては、その大多数が「AIは複雑な作業を簡単にする」(89%)、「インテリジェントマシンは業務において人間と共存する」(88%)ことを確信していることが明らかに。このことから、企業がAIを「従業員がルーティンワークや管理業務に費やしている時間を減らして、さらなる価値を提供できるようにするための手段」としてとらえていることが伺えた。

AI導入企業の売上

続いて、AI導入による売上への影響について調べた結果、3/4の企業で、AI技術の活用を始めてからすでに10%の売上アップとなっていることがわかった。AI導入企業にとって、カスタマーエクスペリエンスはフォーカスするポイントであり、企業の73%が「AIが顧客満足度を高める」、65%が「将来の顧客離れを減らす」と確信している。

業界・分野別、国別のAI技術活用状況

業界・分野別にAI技術の状況をみると、「電気通信」(49%)や「小売」(41%)、「銀行」(36%)で大規模かつ最高度のAI実装が行われているものの、「自動車」(26%)や「製造」(20%)ではAI実装企業の中で最も低い活用率となった。

国・地域別にみると、「インド企業」では半数以上となる58%がAIを大規模に使用しており、次いで「オーストラリア企業」(49%)という結果に。一方、「スペイン」(31%)、「オランダ」(24%)、「フランス」(21%)といったヨーロッパ諸国では、AI技術の使用において低いランク付けとなり、AI技術を採用する準備が整っていないことが伺える結果となった。

AI導入に取り掛かるために

最後に、今回の調査結果を受けて同社は、「カギとなる重要な技術的課題と人的課題を管理する」「AIが最も長期的かつ著しい優位性を生み出せる場所をピンポイントで特定する」「トップダウンのビジョンと、ボトムアップの実行を組み合わせる」「組織をAIに備える」の4点を、AIの実装を開始するための重要なステップとして挙げている。