日立、「回転偏波無線機」で電波が届きにくい現場での高品質な通信を実現

日立製作所は9月11日、コンクリートや金属などが密集し電波が届きにくい製造現場でも高品質な通信を実現する、「回転偏波無線機」の試作に成功したと発表した。

直接偏波と回転偏波の比較

試作した無線機による、最適な偏波の受信イメージ

近年、製造現場の高効率稼働などを目的として、機器に設置されたセンサと、無線通信ネットワークにより、機器の稼働状態を監視・制御するIoTシステムの普及が進んでいる。これまでの無線通信には直線偏波が用いられており、一定方向に振動する電波しか送信されず、製造現場のレイアウトや送受信機の配置によって電波が届きにくい地点があった。

これを解決するため、同社は、偏波が回転する新しい電波利用方式として回転偏波による無線通信を2010年に考案し、独自に原理検証を行ってきた。しかし、送信された回転偏波は、複数の方向から受信機に届くため、効率良く受信・復調することが困難であった。

今回、回転偏波が受信機に到達するまでの複数の経路(伝搬路)ごとに偏波の受信状況を評価し、適する偏波を選択した上で復調する技術を開発した。具体的には、まず、電波により送信されるデータ(パケット)の先頭部分を受信した際に評価し、良好に通信可能な方向の偏波を選択する。その後に続くデータ部分を受信する際に、選択した方向の偏波のみを抽出し、復調するというもの。同技術を無線通信の受信機に用いることで、障害物の有無やレイアウトなどの影響を受けずに、良好な通信品質を維持可能な無線機を試作することができたという。

なお、同社は実証実験を通じて、回転偏波無線通信技術のIoTシステムへの活用をめざすとしており、同成果の一部は、2017年9月12日~15日、東京都市大学で開催される「2017年電子情報通信学会ソサイエティ大会」で発表予定としている。

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