新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とティービーエム(TBM)は、飲食店や食品工場における排水浄化の過程で分離回収される油脂を原料とした発電用燃料の製造に成功し、この燃料を利用し発電する100KVA規模の発電機を搭載したバイオマス発電車を開発したことを発表した。

開発した100KVAバイオマス発電車の外観

飲食店や商業施設、食品工場等での排水は、下水道法や水質汚濁防止法で規定する排水基準以下の濃度で排水することが定められており、下水道や公共用水域へ汚水や油脂が直接流出することを防ぐためのグリース阻集器の設置が義務づけられている。

グリース阻集器で集められる排水油脂(以下、トラップグリース)の賦存量は、全国で年間31万トンと推定されているが、水分含有率が高く不純物も多いため、再生燃料化が難しく未利用資源となっていた。

こうした課題の解決に向けてTBMは、NEDOの「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業」において、2013年度からトラップグリースを用いたバイオマス発電システム「フード・グリーン発電システム」の開発に取り組んできた。

そして今回、NEDOとTBMはトラップグリースを発電用燃料化することに成功し、当該燃料を利用し発電する100KVA規模の発電機を搭載した、国内最大級のバイオマス発電車を開発した。さらに、同発電車を活用して、9月10日に開催される入間市主催の「第23回いるま太鼓セッション」において、グリーン電力の供給を行う実証試験を実施する。

この実証試験は、松屋フーズの埼玉県内98店舗から回収された動物性油脂を原料に製造した発電用燃料を使用して発電を行い、同イベントへ電力供給を行うもの。出店の調理機器や電灯、さらに熱中症対策となるクールスポットをつくるミスト発生装置などに、発電車から安定的にグリーン電力の供給ができることを確認する。

排水浄化から生み出すグリーン電力 全体図

さらに、10月29日と30日に開催予定の「第39回入間万燈まつり」においても同様の実証試験を予定されているほか、さまざまな自治体イベントで実証試験を予定しているということだ。

TBMは今後これらの実証試験を積み重ね、2020年までに排水浄化からグリーン電力を生み出す「フード・グリーン発電システム」を首都圏全域に普及させることで、"新エネルギーの地産地消モデル"の確立を目指すとしている。