機械学習による地震予知AIの開発めざす - ロスアラモス研究所

米ロスアラモス国立研究所(LANL)は、機械学習による地震予知技術に関する研究を進めている。その研究成果として、地下断層をモデル化した実験装置において、いつ地震が発生するかを高い確度で予測することに成功したと発表した。この手法を実際の地震予知に応用していくという。研究論文は地球物理学誌「Geophysical Research Letters」に掲載された。

断層実験装置に蓄積しているストレスを偏光レンズで可視化した画像(出所:LANL)

研究チームは今回、石を細かく砕いた断層粘土をスライド板で挟んで、スライド板を動かしながら圧力を加えることでせん断応力を生じさせる実験装置を作製。この装置を動かしたときに断層粘土のずれによって発生する瞬間的なパルス振動を加速度計で記録した。

装置を動作させている間、断層粘土にかかる摩擦とせん断応力が増加する不安定な状態が続くが、ある瞬間にエネルギーが解放され、摩擦とせん断応力は急激に低下する。このエネルギーの解放が自然の地震に相当するものだが、今回の研究では加速度計で得たデータをもとに機械学習を行うことによって、実験装置における地震がいつ起こるかをコンピュータが高い確度で予想できるようにした。

この手法は、それまでの振動データの履歴は使わずに、ある瞬間に測定された振動信号だけで地震発生までの時間を予測できるという特徴があるという。

また、微弱な揺らぎの信号を機械学習によって特定し、地震予知に利用できることを示した点が、今回の特筆すべき成果であると研究チームは強調している。微弱な揺らぎの信号は、下部地殻の断層における「ゆっくり地震」で発生する微弱な振動に似ている。

こうした信号はこれまで低振幅雑音と考えられてきたものであり、地震予知の研究ではあまり重視されていなかったという。研究チームは、大量の地震データを集めて機械学習による分析にかけることによって、実際の地震予知を可能にすることをめざすとしている。

また同じ手法は、地震予知だけでなく、構造材料の非破壊検査や雪崩発生の予知など、幅広い分野への応用が考えられるとしている。



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