IDC Japanは9月5日、国内企業向けモバイルセキュリティ市場の予測を発表した。同社は、企業向けモバイルセキュリティ市場をモバイルエンタープライズセキュリティ市場として、モバイルアイデンティティ/アクセス管理とモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理、モバイルセキュリティ/脆弱性管理、その他モバイルセキュリティに分類している。

同調査によると、2016年の国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場は、前年比16.4%増の65億円。同市場の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR)は14.7%で、同社は2021年の市場規模(売上額ベース)が130億円まで拡大すると予測している。

国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場 機能セグメント別 売上額予測、2014年~2021年 資料:IDC Japan

ウイルス対策やフィルタリングなどを含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場の2016年市場規模は29億円で、国内モバイルエンタープライズセキュリティ市場の45.0%を占めており、2016年~2021年のCAGRは4つの機能セグメントの中で最も高い成長率で成長し、同市場をけん引していくと同社は予測する。

また、企業におけるクラウドサービスの利用が拡大することで、今後利便性が高くモバイルデバイスに最適化されたモバイルアプリケーションの活用が拡大する見込んでいる。これによって、モバイルデバイスはグループウェアなどの情報系システムから基幹系システムでの活用へと拡大し、モバイルアプリケーションへのアクセス管理やアプリケーション間のSSO(Single Sign On)連携、生体認証やリスクベース認証などを組み合わせた多要素認証といったアイデンティティ/アクセス管理とモバイルアプリケーションの脆弱性管理への需要が拡大すると同社は考えている。

さらに、企業が許可していないモバイルデバイスやクラウドサービスなどの「シャドーIT」の利用によって、マルウェア感染や情報漏洩のセキュリティリスクが高まるため、情報資産へのアクセスコントロールやユーザーの挙動分析、アプリケーションの稼働監視など幅広いソリューションが必要になると同社は指摘している。