東北大学、2万3,000人分の生体試料・情報の分譲を開始

東北大学は、東北メディカル・メガバンク計画において、SNPアレイ等で解析し遺伝型決定が行われた約2万3,000人分の生体試料・情報の分譲を開始すると発表した。

同計画のバイオバンク 試料・情報分譲のフロー(出所:東北大学プレスリリース)

分譲の対象となるのは、2013年度に開始された同計画の、ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの環境要因・遺伝的要因などと疾病の関係を解明するコホート調査の初年度に参加した成人を網羅したもの。同計画では、2017年2月から1万人規模の地域住民のDNA、血漿、血清、健康調査情報およびSNPアレイ情報(一塩基多型の個人毎遺伝型)の分譲を行っているが、今回分譲の対象となる情報は、ジャポニカアレイなどのSNPアレイによって解析され、更にインピュテーション技術によって全ゲノム復元された情報又は全ゲノム情報が含まれており、データの規模は現在の約30倍となる。また、情報は全員分、血液・尿検査情報や、アンケートの調査票由来の罹患歴、生活習慣情報などの健康調査情報と紐づけられている。

これらの膨大なデータは、同計画において開発された統合データベース「dbTMM」に格納され、任意の条件でのデータの抽出や相関関係の解析が可能となる。さらに、未知の相関関係を検出する機械学習などの技術開発に向けた情報基盤としての活用も期待されている。今回の分譲対象拡大により、同計画が目指す、個別化予防等の次世代医療の実現へ向けて、これまで難しかった遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って起こる疾病の原因解明などの研究の飛躍的な進展が期待されるという。

なお、分譲を申請できるのは、日本の非営利学術研究機関と、本社が日本にある企業等の研究所に所属する研究者となっている。被災地を中心とした人々の健康の維持・増進 への貢献、東北発の予防医療・個別化医療等の次世代医療の実現、創薬等の新たな産業の創出などの所定の目的に沿った研究への利用が求められ、分譲後に生じた知的財産は、基本的に利用者に属することになっている。

なお、同計画では、2013年度より8万人規模の一般成人を対象とした地域住民コホート、及び妊婦を対象に声掛けし家族の参加を促した7万人規模の三世代コホートを実施しており、現在は追跡調査のフェーズに入っている。得られた試料・情報は、東北メディカル・メガバンク機構のバイオバンクに蓄積し、2015年8月より外部機関に分譲され、これまでに9件が成立しているということだ。2017年内には、約1,000人分の血漿オミックス解析対象者の生体試料・情報、及び約2,000人分の日本人ヒト全ゲノム解析に基づく高精度の住民ゲノムパネル(2KJPN)の対象者の生体試料・情報も分譲開始予定となっている。

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