英IHS Markitは、2017年第3四半期(7~9月期)における世界のディスプレイパネル工場の稼働率は、前四半期比1.8%増、前年同期比でも1.1%増となる91%に達する見通しであると発表した。この結果、ディスプレイパネル工場の稼働率は、2016年第3四半期に90%に達して以降、5四半期連続で90%±1%といった高いレベルを維持している。

四半期別のディスプレイパネル工場の稼働率推移 (出所:IHS Markit)

IHS MarkitのシニアアナリストであるAlex King氏は、「ディスプレイパネルメーカーが高い稼働率を数四半期にわたって維持できているのは、在庫が健全なレベルになるよう最適化を図ってきているため」と分析。パネル面積といった点で、ディスプレイ生産量の大半を占める大型液晶パネルの2017年第3四半期の生産枚数は、実際の出荷台数よりも2.2%ほど多いと予想されているが、これについても同氏は、コスト高の引き金になりうる稼働率の低下に備えた戦略の一環として、ディスプレイパネルメーカーが稼働率計画に余裕を持たせた結果であるとの見解を示しており、結果として、パネルメーカーの在庫は増加するものの、それも健全な範囲内の増加にとどまる模様だという。

なお、IHS Markitでは、パネルメーカーは2017年の下半期を通して高い稼働率を維持すると予想している。また、今後は、生産能力の増加がスローダウンし、パネルメーカーは各社ともに在庫レベルを健全な範囲内で管理し続けるとも予想しているが、さまざまな条件が重なることで、生産余剰が生じ、在庫の積み増しが発生する可能性も残されているともしている。