西日本電信電話(NTT西日本)は、安全に働ける職場環境の実現をめざし、鹿島建設の協力のもと、2017年8月よりバイタルデータと位置情報等を活用した作業者安全支援サービスの実証実験を開始することを発表した。実施期間は2017年10月までを予定している。

センサー装着イメージ

2016年の労働災害による被災者数は前年比44人減(928人)、死亡災害の発生件数については2年連続で過去最少となっているものの、休業4日以上の死傷者数は増え、発生件数には前年を上回っており、減少傾向にあるとは言えない。また、人手不足等による一人当たりの業務負荷の高まりにより、建設業や製造業の月間実労働時間は依然として産業平均より高い状況にある。

NTT西日本では、「ICTで社会課題を解決する」をテーマに、バイタルデータや位置情報等を活用したさまざまな取り組みを行っており、そのスキルやノウハウを活用することで、作業者自身の安全管理と作業監督者の危機管理稼働の軽減といった働き方改革に貢献できると考え、この実証実験を行うことになったという。

この実証実験では、リストバンド型センサーデバイスから、作業者のパルス数や加速度情報、周辺の温度・湿度情報等を取得することで、体調不良等の予防に対する有用性や転倒・転落検知の正常性を検証する。

また、作業現場内に設置されたBeaconと作業者が装着する環境センサーから、作業者の位置情報や気圧情報を取得して、危険エリアや建設機械等への近接情報、また高所作業中の情報などを可視化することで、重篤災害抑止や作業監督者の見回り作業等の稼働軽減に対する有用性を検証するという。

Beacon設置例

NTT西日本では、実証実験の結果や作業者、作業現場監督者の要望などを取り入れて、働きやすい職場環境づくりに寄与できるサービスの早期実用化を目指すとしている。また、将来的には実証実験で構築したシステムをベースに安全管理以外のさまざまな利用シーンとして、介護シーンにおける高齢者の体調や位置情報の把握、教育現場における運動中の体調や活動状況の把握など、用途に合わせて幅広く使えるセンシング技術やシステムの実現を目指すということだ。

実証実験イメージ(出所:ニュースリリース)