群馬大学は、条件付きノックアウトマウスを短期間で作製する技術を開発したと発表した。

同成果は、同大生体調節研究所ゲノム科学リソース分野の堀居拓郎 助教、畑田出穂 教授、ポストドクターの森田純代氏と澁谷海大氏、木村美香 技術員、寺脇直美 技術員らの研究グループによるもの。詳細は、英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

新規法の概要。染色体欠失が起こらず効率よく条件付きノックアウトマウスを作製できる (出所:群馬大学 生体調節研究所 Webサイト)

創薬研究において創薬標的遺伝子のノックアウトマウス作製技術を用いた疾患モデル作出は必要不可欠で、特に、対象とする臓器だけで標的の遺伝子がノックアウトされる、条件付きノックアウトマウスがよく用いられている。しかし、従来の技術では条件付きノックアウトマウスの作出には数年間を要する必要があった。近年では、CRISPR/Casゲノム編集技術の発達により、ノックアウトマウス作製にも応用が勧められているが、期待された成果はなかなか得られていないことも課題となっていた。

今回、研究グループは、CRISPR/Casゲノム編集技術を用いることで、これまで遺伝子を1回で切断したところを、2回に分けて切ることにより染色体欠失が起こらず効率よく、条件付きノックアウトマウスを作製する技術を開発した。

研究グループは、同技術により、疾患モデル動物を用いた病態解明や創薬における標的妥当性評価などへの応用が広がることが期待されると説明している。