帝国データバンクは8月24日、「人手不足に対する企業の動向調査(2017年7月)」を発表した。これによると、正社員が不足しているという企業が45.4%に上ったという。同調査は同社が7月18日から7月31日にかけて全国2万3767社を対象に実施したものであり、有効回答企業数は1万93社。

従業員の過不足を尋ねたところ、正社員が不足していると回答した企業は全体の45.4%を占め、2017年1月の調査と比べて1.5ポイント、2016年7月と比べて7.5ポイント、それぞれ増加した。同社によると2017年7月の数値は過去最高となり、企業の人手不足感が一段と強まっているという。

従業員数の過不足感の推移(「不足」計は「非常に不足」「不足」「やや不足」の合計、「過剰」計は「非常に過剰」「過剰」「やや過剰」の合計)、母数は「該当なし/無回答」を除く9883社

不足していると回答した企業を業種別に見ると、ソフト受託開発などの情報サービスが69.7%で最も高く、2017年1月と比べて4.1ポイント、2016年7月と比べて9.7ポイントそれぞれ増加し、7割近くに達した。以下、家電・情報機器小売(61.5%)、放送(61.5%)、運輸・倉庫(60.9%)の各業種が6割を超えた。人手不足と感じる企業が5割以上となる業種は、建設(59.5%)や再生資源卸売(58.1%)など10業種に上った。

企業の声としては「依然として人手不足であり、人集めに難航している状況」(ソフト受託開発、東京都)といった、人手不足の深刻化に伴い人材の確保・維持に苦労しているという声もあったという。

従業員が不足している上位10業種

一方、家具類小売や出版・印刷、旅館・ホテル、繊維・繊維製品・服飾品卸売、紙類・文具・書籍卸売で不足と回答した企業は2割台にとどまり、人手不足感が最も高い業種と最も低い業種における割合の差は44.7ポイントと、2017年1月の調査(46.0ポイント)からは1.3ポイント縮小した。差が縮小したのは、全ての業種で2割以上だったことに加え、7割台の業種がなくなったことも要因だという。

業規模別では、大企業は51.8%と半数を超える企業が不足と答えている。中小企業では43.7%、中小企業のうち小規模企業は38.8%が、不足としている。規模の大きい企業ほど正社員に対する不足感が高く、一段とその傾向が強まっている。そのため、こうした状況が継続することで、中小企業の人材確保に影響を与えていると同社は指摘する。

従業員の過不足感(企業規模別)