九州大学は、重水を使って、藻類の一種であるミドリムシの光合成能力を調べる方法を開発したと発表した。

同研究は、九州大学大学院工学研究院の与那嶺雄介特任助教、星野友准教授らの研究グループによるもので、同研究成果は、8月14日にWiley Online Libraryの「ChemBioChem」オンライン速報版として公開された。

(上)研究手法の模式図 (左下)通常の顕微鏡でミドリムシを撮影した画像 (右下)同じ視野を、ラマン顕微鏡で撮影した画像。光合成で重水素が取り込まれた細胞のみが検出された。(出所:九州大学プレスリリース)

ミドリムシは光合成によって、水と二酸化炭素から糖類を生産する。ストレス環境下では、この糖類をパラミロン顆粒として備蓄し、さらにバイオ燃料にも使える油脂に転換するため、光合成能力の高いミドリムシ個体を探し出すことができれば、再生可能なエネルギーの実用化を促進できるという。

同研究グループは、光合成の原料となる水の代わりに、通常の水素よりも重い「重水素」を持つ水(重水)を使って、光合成により重水素をミドリムシに取り込ませた。その後、ラマン分光法を原理とした顕微鏡で観察した所、重水素標識された個体を見分けることができた。

また、同研究で開発した方法と、ImPACT合田プログラムで開発中の、超高速細胞分取装置とを組み合わせることにより、バイオ燃料を高効率に生産する「スーパーミドリムシ」を探し出すことが期待できるということだ。