IDC Japanは8月24日、2017年国内データセンターサービスユーザー調査結果を発表した。これによると、大企業における外部データセンターサービスのシェア拡大が市場の成長を加速させるという。

調査は、国内企業/団体の外部データセンター(DC)サービス利用者を対象としたアンケート調査となり、利用中のサービスや将来の予定などに関する回答をまとめ、分析したもの。

今回の調査によると、外部データセンターサービスの利用は大企業が中心で、中小企業への普及は進んでいないことがわかったという。しかし、すでに大企業では外部データセンターサービスをまったく利用していないというところは少ないものの、社内におけるシェア拡大の余地は依然として残っており、案件の規模も大きくなる傾向があることから、これが市場にプラスの影響を与え、その成長を加速させると見込んでいる。

将来的には、中小企業も含めて外部データセンターサービスの利用拡大が予測される一方で、外部データセンターで稼働させていたアプリケーションをオンプレミスに移行するというケースもあるという。大企業を中心に、IT環境の最適化を目指して外部データセンターとオンプレミスの適切な組み合わせを模索する動きがあると推測している。

また、クラウドに着目して、現在利用中のクラウドサービス、すなわちパブリッククラウド、プライベートクラウド(オンプレミス型)、プライベートクラウド(ホステッド型)の構成比を見ると、従業員規模が大きくなるにつれてプライベートクラウド(オンプレミス型)の比率が上昇しており、結果として各サービス間の差が小さくなり、構成比が均等化する傾向があると指摘。大企業では、より柔軟かつ独自のインフラ構築/運用を求め、オンプレミス型を好む傾向があると想定している。

従業員規模別 外部DCからオンプレミスへの移行理由

データセンターサービス市場は、今後もしばらくは拡大が続くと見込んでいるが、特に大企業を中心に外部データセンターとオンプレミスとの組み合わせ方、クラウドサービスの使い分け、データセンターの設置場所なども含め、社内IT環境の最適化に向けた模索も続けられており、データセンターサービス事業者側でもそれを無視できなくなりつつあるという。

同社のITサービスのシニアマーケットアナリストである吉井誠一郎氏は「データセンターサービス事業者には、コンサルティングなどによって企業ごとに異なるIT環境の最適化をサポートしていくことが求められるであろう」と分析している。