今年の9月1日に、大型の小惑星「フローレンス(Florence)」が地球の近くを通過することがわかった。地球に接近する小惑星の監視をNASAが行うようになって以降、最大級の小惑星接近であるという。地球に衝突する危険はないとされている。

9月1日、大型小惑星フローレンスが地球の傍を通過する際のコース(出所:NASAジェット推進研究所)

NASAの地球近傍天体研究センター(CNEOS:Center for Near-Earth Object Studies)によると、小惑星フローレンスは約4.4kmの大きさがあるとみられている。9月1日の最接近時には地球までの距離が約700万kmとなる。これは地球と月の距離の18倍程度あり、地球に衝突することはないという。

「今回よりも地球に近い位置を通過した小惑星はこれまでに数多くあるが、それらはすべてフローレンスと比べると小さなものだった。地球近傍の小惑星の発見・追跡を行うNASAのプログラムが始まって以来、フローレンスは最大サイズの小惑星となる」とCNEOSマネージャーのPaul Chodas氏はコメントしている。

研究者にとっては、今回の接近がフローレンスを観察するための絶好の機会となる。米国カリフォルニア州のゴールドストーン太陽系レーダーや、プエルトリコのアレシボ天文台など、地上のレーダー施設による観測が計画されている。レーダー観測によってフローレンスの実際の大きさを測定したり、小惑星表面の詳細な画像(解像度10m)を撮影できたりすると期待されている。

フローレンスは1981年、天文学者シェルテ・バスが発見したもので、名前はフローレンス・ナイチンゲールに由来している。今回の接近は1890年以降でフローレンスが地球に最も近づくケースであり、またこの先も、西暦2500年まではこれほど接近することはないと予測されている。

接近時のフローレンスは、8月終わりから9月初めにかけて9等星の明るさになり、南の魚座、やぎ座、みずがめ座、いるか座の間を通過する様子が小型の天体望遠鏡でも観察できるようになるという。