IDC Japanは8月22日、2016年における国内システムソフトウェア市場規模実績と2021年までの市場規模予測を発表した。これによると、2016年の国内システムソフトウェア市場規模は2015年と比べて1.5%減の1728億9600万円であり、2016年から2021年における年間平均成長率(CAGR)は3.8%になるという。

国内システム・ソフトウェア市場の売上額予測(2016年~2021年)

同社はシステムソフトウェア市場を、サーバオペレーティングシステム(OS)市場、Software-Defined Computeソフトウェア市場、バーチャルクライアントコンピューティング市場、アベイラビリティ/クラスタリングソフトウェア市場に分類している。

サーバOS市場はシステムソフトウェア市場の中で最も市場構成比が大きく、2016年の売上額は前年比0.2%増の750億3900万円。Linuxが2桁以上の成長を達成した一方で、Windowsは微増、UNIXは大幅なマイナス成長となった。同市場の2016年~2021年におけるCAGRは2.7%を予測しており、市場の傾向は変わらずLinuxだけが高い成長を続けると見込んでいる。

Software-Defined Computeソフトウェア市場は、市場の大部分を占めるバーチャルマシンソフトウェア(ハイパーバイザー)が、サーバ仮想化投資の一巡やオンプレミス仮想基盤からIaaSへの移行の影響を受け、2016年の売上額は前年比9.5%減の499億6900万円にとどまり、2016年~2021年におけるCAGRは3.5%と予測する。ハイパーバイザーは今後も低成長が続くというが、その一方でOpenStackやDockerなど新たなSoftware-Defined Computeソフトウェアの成長が市場を牽引すると推測。

クライアント仮想化ソフトウェアであるバーチャルクライアントコンピューティング市場の2016年の売上額は前年比8.9%増の261億6100万円に拡大。地方自治体を中心に情報漏洩対策として導入が進んだインターネット分離に、バーチャルクライアントコンピューティングの採用が好調の要因になったという。

同市場の2016年~2021年におけるCAGRは8.5%と予測し、インターネット分離の需要は今後も継続すると見込む。企業の働き方改革に対する取り組みにより、バーチャルクライアントコンピューティング利用のワークスタイル変革も市場成長を後押しするという。

システムの可用性を高めるアベイラビリティ/クラスタリングソフトウェア市場の2016年の売上額は、前年比2.0%増の217億2700万円。Linux向け市場が好調な一方、UNIX向け市場とWindows向け市場はマイナス成長になったという。同市場の2016年~2021年におけるCAGRは2.4%と予測しており、2017年以降もLinux向け市場において、金融や公共、大手民間企業での基幹システム向けの高可用化需要が継続する見通し。

同社のソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は「ベンダーはOpenStackやDockerといった次世代のシステムソフトウェアに関するソリューションの構築とエンジニアの育成を行い、普及期に入り次第、すぐに市場機会を獲得できるように備えておくことが重要である」と述べている。