8月11日に公開され週末興行収入1位を記録した『スパイダーマン:ホームカミング』(公開中)において、アクションは大きな見どころだ。予告編映像にもスパイダーマンならではのさまざまなアクションシーンが収められているが、特に目を引くのは、フェリーが真っ二つになるシーン。実はそのシーンでは、リアルな"巨大フェリー"のセットを作製し、実際に真っ二つにして撮影されたという驚きの秘話があった。

『スパイダーマン:ホームカミング』フェリーが真っ二つになるシーン

このシーンは、ピーターがスパイダーマンとしてワシントンD.C.で起きた爆発事故から同級生を救出したことがきっかけで、スパイダーマンがヒーローだと騒がれ始め、今こそ「スパイダーマンとして認められ、アベンジャーズに入れるチャンス」と意気込んでいる場面。一刻も早くバルチャーにたどり着こうとするピーターは、彼らがフェリーで取り引きするところを突き止めるが、船上でのバルチャーとの戦いはフェリーを真っ二つに分断する絶対的危機を招く事態に。そして、最終的にアイアンマンに助けられてしまう…というシーンだ。

当初、この緊迫したシーンは「特殊効果で映像化するしかない」と考えていたプロデューサー陣。しかし美術チームや建設チーム、そして特撮チームと、多岐にわたるスペシャリストたちが一丸となり、この方針は崩された。フェリー前方部分を実際に建設し、地面から約2m持ち上げられたところで、油圧によって半分に割られる仕組みが考案された結果、実際にフェリーが真っ二つに裂かれる様子が撮影できたという。

その流れとしてはまず、木製の短尺模型を作り、実際のフェリー「スピリット・オブ・アメリカ号」のサイズを測って、3Dモデルから設計図へと展開。最終的に完成したセットは、横幅20m、高さ14m、長さ30mと巨大なもの。これを使ってフェリーが真っ二つに裂け、大量の水が押し寄せるシーンが撮影された。プロダクション・デザイナーであるオリヴァー・ショールは「セットとそれを支えるジンバルの重さは約10トン。撮影機材が12トン。そこに15万トンの水が流れ込むことになる。建設からリハーサルまでは5カ月くらいを要したが、すばらしいセットが完成した」と振り返る。

トム・ホランドもこのシーンの撮影に関して「僕にとって最高の1日になった」と語りつつ、さらに「フェリーが真っ二つに裂け、車やらタンクやらがそこらじゅうに放り込まれていく。そこにスパイダーマンが飛んできて、戦う彼をカメラが一周するように追いかける。これを全部ワンショットで撮影したんだ」と撮影秘話も告白。「リハーサルにも長い時間がかかったが、僕が今まで見た過去の映像を含め、スパイダーマンの中で最もカッコイイシーンになったと思う」というトムの自信たっぷりな言葉通り、「スパイダーマン」シリーズの中でも最大級の見応えになっている。


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