広島大学は8月16日、ユニバーサル・サウンドデザインより発売されている、卓上型対話支援システム「comuoon(コミューン)」に、大脳皮質レベルで難聴者の語音弁別の有用性を確認したと発表した。

同成果は、ユニバーサル・サウンドデザイン代表取締役の中石真一路氏が研究員として所属する広島大学宇宙再生医療センターの聴覚リハビリテーション研究グループによるもの。詳細は英国の学術誌「Neuroreport」および、米国脳科学関連学会「14th Annual World Congress of Brain Mapping and Therapeutics」、「第118回日本耳鼻咽喉科学会通常総会・学術講演会」にて発表された。

近年、加齢に伴う難聴者の人口は年々増加しており、日本の難聴者率は人口の10.9%に上る。また、病院窓口での高齢患者とのコミュニケーション不足が問題視されている中、話者側から音声コミュニケーションを支援する卓上型対話支援システム「comuoon」は、現在学校や病院、福祉施設、一般企業、行政機関など、全国に約3,000か所以上の施設に導入されている。

卓上型対話支援システム「comuoon」

今回の研究は、全頭の神経活動を評価できる脳磁計を使用し、「comuoon」と一般的なスピーカーにおいて聴き取りにどの程度改善が得られるのかを調査。その結果、comuoonは一般的なスピーカーより、大脳皮質レベルで難聴者の語音弁別の有用性を確認したとしている。これは、comuoonが難聴者への生活支援ツールならびに、聴覚リハビリツールとして活用できる可能性を示唆するものだという。

今回の成果について研究グループでは、今後も、聴こえのバリアフリー社会の実現に向けて、あらゆるシーンでコミュニケーションを支援していきたいとコメントしている。