人工多能性幹細胞(iPS細胞)から輸血用の血小板を量産する製法を製薬企業などとのコンソーシアムにより確立した、と大学発のベンチャー企業「メガカリオン」(本社・京都市・左京区)がこのほど発表した。2020年をめどに医療現場での応用を目指すという。

図 ヒト iPS 細胞由来血小板製剤の製造フローと要素技術の関係(メガカリオン作成・提供)

血小板は血液成分の一つで、止血や手術時の輸血などに使われるが、献血で集めても有効期間が採血後4日間と定められていることもあり不足しがちだ。このため安定供給が課題となっていた。メガカリオンは、東京大学と京都大学の研究者らがiPS細胞から血小板をつくる技術を開発したことを受け、この技術を実用化することを目的に2011年9月に設立された。

今回量産する製法を確立したコンソーシアムには、大量培養による血小板の産生などの面で佐竹化学機械工業(本社・埼玉県戸田市)と日産化学工業(同東京都千代田区)が、血小板の分離精製・保存面で大塚製薬工場(同徳島県鳴門市)、川澄化学工業(同東京都港区)、京都製作所(同京都市伏見区)が、また各種分析・試験の面でシスメックス(同兵庫県神戸市)がそれぞれ参加するなど、メガカリオンを含め合計16社が連携している。

メガカリオンは、コンソーシアムに参加した各社が持つ要素技術を組み合わせ、技術を最適化したことにより、量産製法が確立できた、としている。同社は国内での臨床試験を経て2020年の製造販売承認を目指す。

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