運用40年目を迎える宇宙探査機ボイジャー、今も太陽系外から交信続く

宇宙探査機ボイジャー1号・2号が運用40年目に入る。1977年9月5日に打ち上げられたボイジャー1号は、2012年に太陽系を脱出して以降、恒星間宇宙空間での飛行を続けている。同年8月20日に打ち上げられたボイジャー2号も今後数年で太陽系を脱するとみられるが、両機ともいまだ現役であり、地球に向けた観測データの送信を続けている。

恒星間宇宙を飛行するボイジャー探査機の想像図(出所:NASA)

ボイジャー探査計画に携わったカリフォルニア工科大学の科学者Ed Stone氏は、「40年前ボイジャーの飛行がはじまったとき、40年後もまだ探査活動が続いているとは誰も思わなかった。この先5年の間にも、われわれがまだ知らない新発見がボイジャーによってもたらされる可能性がある」とコメントしている。

ボイジャー1号は現在、地球から209億kmほど離れた恒星間宇宙空間を飛行中。いまのところ太陽系の外の恒星間宇宙に進出した唯一の宇宙探査機であり、太陽系の惑星軌道面に対して(地球から見て)北方向に進路を取って進んでいる。

ボイジャー1号が送ってきた観測データから、恒星間宇宙空間では宇宙線の量が地球周辺に比べて4倍以上多いことがわかっている。これは、太陽圏(太陽風が届く範囲に形成されている荷電粒子の泡、ヘリオスフィア)が、各惑星を保護する放射線シールドの役割を効果的に果たしていることを意味している。また、局所的な星間物質のもたらす磁場が太陽圏のまわりを取り巻いていることも、ボイジャー1号のデータから示唆されているという。

1977年8月20日、米フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターでのボイジャー2号打ち上げ現場(出所:NASA)

ボイジャー2号は、木星、土星、天王星、海王星という4つの外惑星に接近した唯一の探査機であり、太陽系の惑星と衛星に関する貴重なデータを多数もたらした。同機は現在、地球から177億kmほどの距離にあり、今後数年で太陽系を脱するとみられている。

ボイジャー2号が1号とは別の宇宙領域で荷電粒子、磁場、低周波電波、太陽風プラズマの観測を行うことによって、異なる場所での太陽圏と星間物質の相互作用などについて比較研究を行うことができるようになっている。今後、ボイジャー2号が星間物質中を通過することになれば、異なる2つの場所で同時に星間物質をサンプリングできるようになる。

ボイジャー1号・2号は電源としてそれぞれ原子力電池を3個搭載し、プルトニウム238(半減期約88年)の崩壊熱を電気エネルギーに変換して用いている。ボイジャーの電力は毎年4ワットずつ減少していくので、限られた電力でいかに運用していくかがNASAの技術者の課題となっている。運用期間を最大限引き延ばすため、数十年前に作成されたコマンドとソフトウェアの説明文書を調べたり、退職した元技術者たちからのコンサルティングを受けたりといった技術の継承作業も必要になっているという。

ボイジャーに搭載された観測機器は、2030年までに最終的に停止すると予想されている。観測停止後も飛行は続き、時速4万8280kmの速さで宇宙空間を移動し続けることになる。両機には地球の音楽や映像、メッセージなどを収録した「ゴールデンレコード」も納められている。いつか人類が滅亡した後、これらのタイムカプセルが地球文明の最後の痕跡になる日が来るのかもしれない。

ボイジャー2号に積み込まれたゴールデンレコード。背景に映っているのがボイジャー2号。1977年8月4日、フロリダ州ケープカナベラルで撮影(出所:NASA)

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事