通勤電車の混雑緩和などを目的に、東京都が中心となり7月に実施した「時差Biz」。働き方改革の一環としても注目されたが、現場で働くビジネスパーソンの反応はどうだったのだろうか。マイナビニュース会員に聞いてみた。

同調査ではまず、電車通勤をしているか聞いた。結果は53.6%(537人)が「はい」、46.4%(464人)が「いいえ」と回答した。続いて、出社時間をずらすことで通勤ラッシュを軽減する「時差Biz」を知っているか聞いたところ、「知っている」が71.7%(385人)、「知らない」が28.3%(152人)だった。

さらに「時差Biz」をやってみたいか聞いたところ、「やってみたい」が72.5%(279人)、「やりたくない」が27.5%(106人)と回答した。それぞれの回答について、理由も聞いているので、その中から興味深い回答を紹介しよう。

「やってみたい」理由

  • 「あの混雑を朝から経験すると その日1日ヤル気が起きない」(51歳男性 / 東京都 / 未婚 / 建設コンサルタント / 建築・土木関連技術職)

  • 「少しでも朝のイライラがなくなるなら。結局みんな残業しているんだし」(35歳女性 / 愛知県 / 未婚 / 設計 / 事務・企画・経営関連)

  • 「東京の混雑は異常だから」(55歳男性 / 神奈川県 / 既婚 / その他電気・電子関連 / 事務・企画・経営関連)

  • 「真夏の満員電車は本当に消耗する。仕事場についても疲労が残るのでそれを解消で出来るならやってみたい」(48歳男性 / 大阪府 / 未婚 / レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連)

  • 「通勤時間帯の電車の混雑は、それだけで疲れてしまう。時間をずらすことで座れるなら、ゆとりをもって仕事に取り組めると思う」(50歳女性 / 福島県 / 未婚 / サービス / その他・専業主婦等)

  • 「10~11時出勤でも、やれることをやればいいと思う。この時代に日本はどうして一律9時出勤の会社が多いのか、意味が分からない」(46歳女性 / 千葉県 / 未婚 / 化粧品・医薬品 / 事務・企画・経営関連)

  • 「朝活や夜活で自分の趣味に時間を使えるから」(27歳男性 / 山口県 / 未婚 / ガラス・化学・石油 建築・土木関連技術職)

  • 「夏は日が長い。出勤が遅くても帰社時にまだ明るく、少し涼しくもなる。朝食もゆっくり摂れるし電車も混みあわないため、気分が良くなりそう」(59歳女性 / 埼玉県 / 未婚 / 医療用機器・医療関連 / 専門サービス関連)

「やりたくない」理由

  • 「ペースが狂う」(51歳女性 / 東京都 / 未婚 / その他 / 事務・企画・経営関連)

  • 「生活のリズムが狂って、仕事に支障をきたしそうだから」(39歳男性 / 千葉県 / 既婚 / 官公庁 / 公共サービス関連)

  • 「相手がある仕事だから」(34歳男性 / 埼玉県 / 既婚 / サービス / 専門職関連)

  • 「始発列車で通勤しているので、これ以上早めるのは無理。これより遅くなると通勤ラッシュまたは遅刻になる」(39歳男性 / 青森県 / 未婚 / 教育 / 公共サービス関連)

  • 「その皺寄せがどこかに出るから」(51歳男性 / 宮城県 / 未婚 / 通信関連 / 営業関連)

  • 「定時出社する必要があるので」(57歳男性 / 神奈川県 / 既婚 / システムインテグレータ / 事務・企画・経営関連)

このほか、朝早く出勤してお昼過ぎに帰る働き方と、お昼過ぎに出勤して夜遅く帰る働き方ではどちらがいいかも聞いてみた。結果は、「朝早く出勤」が72.5%(279人)、「昼過ぎに出勤」が27.5%(106人)だった。こちらも、それぞれの回答を選択した理由について聞いてみた。筆者の独断でいくつか紹介しよう。

「朝早く出勤」の理由

  • 「頭が冴える朝から仕事。就業後の時間も有効に使える」(46歳男性 / 島根県 / 既婚 / その他電気・電子関連 / 技能工・運輸・設備関連)

  • 「子供と生活のリズムを合わせたいから」(44歳女性 / 東京都 / 既婚 / システムインテグレータ / IT関連技術職)

  • 「アフター5を満喫したい」(38歳男性 / 愛知県 / 未婚 / その他 / 専門サービス関連)

  • 「区役所や銀行などに行きやすいので」(36歳女性 / 大阪府 / 未婚 / 医療・福祉・介護サービス / 事務・企画・経営関連)

  • 「早起きすると1日が長い」(61歳男性 / 大阪府 / 既婚 / その他メーカー / 事務・企画・経営関連)

「昼過ぎに出勤」の理由

  • 「朝はゆっくり寝ていたい」(64歳男性 / 東京都 / 既婚 / サービス / 事務・企画・経営関連)

  • 「朝が弱いから。でも夜遅くなるのも正直嫌だ」(40歳男性 / 神奈川県 / 既婚 / ソフトウェア・情報処理 / IT関連技術職)

  • 「夜に時間があるとネットサーフィンで夜更かしするので」(57歳男性 / 大阪府 / 既婚 / サービス / 専門サービス関連)

総評

今回の調査では、マイナビニュース会員に電車通勤をしている537人に「時差Biz」をやってみたいか聞いたところ、「やってみたい」は279人(72.5%)、「やりたくない」は106人(27.5%)だった。

「やってみたい」と回答した人の多くは、通勤ラッシュの辛さから開放されたいという理由をあげていた。「真夏の満員電車は本当に消耗する」と大阪府の48歳の男性。朝の電車は1年を通じて混雑しているが、しかし夏場は満員電車をことさら辛く感じさせるものがある。まず厳しい暑さのために体調のコントロールが難しい。朝から気温の高い日は不快指数も高い。かと思えば、冷房により急激に身体が冷やされ調子を崩す心配もある。汗をかいているので接触が厭われるが、すし詰めの車内では身体を触れ合わざるを得ない。このほか、他人の体臭が気になってしまうケースもある。他の季節に比べて、夏の通勤ラッシュはストレス値が高い。

「やれることをやればいい。この時代に日本はどうして一律9時出勤の会社が多いのか」と千葉県の46歳の女性。9時からお客様対応がある、取引先が9時出社だから、といった理由もあるだろうが、実際のところ、出社時間に融通をきかせることのできる会社も少なくないだろう。

アンケートの自由回答からは「夏場だけでも、通勤ラッシュのストレスから開放されたい」という、ビジネスパーソンからの切実な思いが感じ取れた。今回東京都が実施した時差Bizは、気温の上がる7月上旬から学生が夏休みに入る7月下旬までの期間限定だったが、それでも実施した意味はあったように思う。読者の皆さんは、どのように感じただろうか。

調査時期: 2017年7月13日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 会社員1001名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません