相模鉄道は4日、新型車両20000系の第1編成が車両センターに到着したと発表した。日立製作所笠戸事業所で製造された第1編成は、山口県から神奈川県まで約950kmを移動。JR相模線を経由し、厚木操車場から事業用車両モヤ700系で車両センターへ輸送され、8月4日に到着した。今後は12月の営業運転開始(予定)に向け、準備を進めるとしている。

相模鉄道の新型車両20000系。第1編成が8月4日に到着した

都心直通用の新型車両20000系は今年度、7000系の代替として1編成(10両編成)導入。その後も相鉄・東急直通線(2022年度下期開業予定)の車両として順次導入される。相鉄グループが取り組む「デザインブランドアッププロジェクト」のコンセプトを反映し、外装に新たな相鉄線のイメージカラー「ヨコハマネイビーブルー」(濃紺色)を採用。先頭車は通勤形電車のイメージを打ち破る立体的でインパクトのある形状となった。

内装は落ち着きのあるグレーを基調とし、ロングシート座席の座り心地も改良している。優先席の一部に「ユニバーサルデザインシート」を導入したほか、車いす・ベビーカー用のフリースペースを全車両に設置する。2016年度グッドデザイン賞に選ばれた吊り革を採用し、空調効果を高める「個別ドアスイッチ」をすべての乗降ドアに導入する。ドア上や通路の天井に大画面案内表示器(21.5インチ)も設置。相鉄線では初という設備を多数備える一方、相鉄線の特徴でもあった車内の鏡やブラインドも復活させる。

日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で製造された第1編成は電気機関車に牽引され、山陽本線・東海道本線などを経由し、神奈川県内へ輸送された。約950kmに及ぶ全区間で「そうにゃん」が乗車したという。相模鉄道創業の路線であるJR相模線も走行し、厚木操車場(神奈川県海老名市)に到着した後、事業用車両モヤ700系(4両)の牽引で相鉄線かしわ台駅構内の車両センターへ。「相鉄線の駅には10両以上の編成が停車できないことから8月2日・4日の2回に分けて輸送されました」と相模鉄道は説明している。

電気機関車EF66形に牽引された新型車両20000系(第1編成)。瀬戸内海沿いの区間や「瀬野八」(山陽本線瀬野~八本松間)と呼ばれる急勾配区間も走行

厚木操車場から車両センター(相鉄線かしわ台駅構内)までの区間は事業用車両モヤ700系が牽引。8月2・4日の2回に分けて5両ずつ輸送された。運転席に「そうにゃん」の姿も

新型車両20000系は12月のデビューを予定しており、今後は車両の整備や各種試験、乗務員の訓練など、営業運転開始に向けた準備を進める。なお、「デザインブランドアッププロジェクト」の20000系スペシャルサイトでは、第1編成の製造の様子を動画で公開中。山口県から神奈川県への輸送の様子も公開予定とされている。