東北大と国立天文台、クジラ銀河で複数の矮小銀河などを発見

東北大学と国立天文台は、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(HSC)」を用いて、地球からりょうけん座の方角、約2300万光年の距離にある渦巻銀河「NGC 4631(通称:クジラ銀河)」とその周辺を広域観測した結果、銀河の歴史を解明する上で重要な情報源とされ、銀河の化石とも呼ばれる恒星ストリーム(細長い恒星群)2個と、矮小銀河11個を発見したと発表した。

同成果は、東北大学 学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部の田中幹人 助教、東北大学大学院理学研究科の千葉柾司 教授、国立天文台の小宮山裕 助教らによるもの。詳細は、米国の天体物理学誌「The Astrophysical Journal」に掲載された。

古い天体を調べて、銀河の歴史を調べる学問を「銀河考古学」と呼び、単なる古い星のほか、球状星団や矮小銀河などを対象として研究が進められてきた。

今回の研究で観測が行われたクジラ銀河は、すばる望遠鏡で星1つひとつまで観測することができる銀河のうち、もっとも遠い距離に位置する銀河で、銀河系やアンドロメダ銀河と似た渦巻き型をしているが、それらに比べると、やや質量が軽いことが判明しているほか、渦巻きの形が通常の渦巻きよりもふくれあがったいびつな形をしていることが分かっている。

また、クジラ銀河の近くには、もう1つの小さな渦巻き銀河で形が崩れて曲がった杖のような形に見えることからホッケースティック銀河の通称が付けられた「NGC 4656」が存在していることから、互いに物理的に影響を与えている可能性なども含めて観測を実施。その結果、2つの銀河をつなぐような構造は捉えられなかったものの、別の研究グループが発見していたクジラ銀河を取り巻く2つの恒星ストリームを確認。これら恒星ストリーム中にある星の1つひとつを分離して観測することに成功したとするほか、さらに詳細な解析を実施したところ、2つの恒星ストリームは、起源が同じであること、ならびに起源となる矮小銀河は太陽の約4億倍の重さであることが判明したとする。

すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「HSC」の1視野に写ったクジラ銀河(右上)とホッケースティック銀河(左下) (C) 東北大学/国立天文台

なお、研究グループでは、今回の成果について、「クジラ銀河は私たちの住む銀河系や隣のアンドロメダ銀河に比べて小さく、そして周りの銀河と激しく影響し合っている特殊な環境にいる銀河であることから,今回の発見は銀河の歴史の多様性を理解する上で重要な手掛かりになると期待される」とコメント。今後、クジラ銀河の歴史を解明していくことで、銀河の歴史がいかに多様性に満ちあふれていたかについて理解を進めたいとしている。

クジラ銀河とホッケースティック銀河、および2つの恒星ストリーム (C) 東北大学/国立天文台

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